意味をあたえる

文章としかいいようがない fktack@yahoo.co.jp

読書瞬間

保坂和志「未明の闘争」

鎖の一方の端にふれたらもう一方の端がゆらいだという、あの話のことだ。農婦のワシリーサが泣き出し、娘がどぎまぎしたのは、たったいま学生が話して聞かせた、千九百年むかしにあったことが、この二人の女にも、この荒涼とした村にも、学生自身にも、すべ…

小島信夫「菅野満子の手紙」(3)

ようやく先ほど読み終わった。最近はあまり読書する時間が確保できず、クライマックスに迫るにつれて、読み進むページの厚さは減った。「クライマックス」という言いぐさは、いかにもこの小説には相応しくない。私はいつかこの文章を読み返したときのために…

小島信夫「菅野満子の手紙」(2)

主人公と編集長がテレビのサスペンスドラマの話をしていた部分が面白かったので書き抜く。(書き抜いた部分以外も面白い)「」の中で「謙二」と出てくるが、それは小島信夫ことと思って支障はない。 「あなたのいおうとする第二のこととは、何ですか。第一の…

小島信夫「菅野満子の手紙」

この前私は「うるわしき日々」という小説を読んで、ちょうど読んでいる途中で付箋を購入し、面白い箇所にぺたぺたと貼りながら読んだ。とても細い付箋で、太さがちょうど一行分なので、面白かった箇所をピンポイントで指し示すことができる。あとは縦のどの…

若林奮「I.W――若林奮ノート」

坂を登り切って視界が広がった時、右前方にとがった山が二つ見えた。右は近く左は遠方に相似形であった。目的地の確認は再び地図によらなければならなかったが、道はその山の方へ向かって円を描きながら行ってしまうので、あたりの地形よりむしろ道によって…

ロラン・バルト「テクストの快楽」

少し前にいまだなつき (id:imada-natsuki)さんが、ロラン・バルトをブログで紹介していて、私は興味を持った。紹介というか、いまださんはそのときロラン・バルトの本にインスパイアされて、掌編を書いたのだった。ところで、ブログで小説を書くという行為は…

小島信夫 保坂和志「小説修行」

先日小島信夫「うるわしき日々」について書いたらコメントをいただき、私は返事を書いた。おもしろい指摘をしてくださったので、良かったら、読んでみてください。 そうしたら再び返事をいただき、その中で 「あなたは往復書簡のような形式で書いたらおもし…

ペットとの別れはつらい

私はペットの類を飼ったことがないから、別れも何もないのだが、ところで今日は仕事始めで午前中に仕事をしたらお昼になったのだが、今日は人数の関係で後輩のH・Kくんと別室でお昼を食べることになり、そういうときはいつもそうなのだが、H・Kくんはいつ…

小島信夫「うるわしき日々」2

このような状態にあって、老作家は先のことを思い煩わず、頬かぶりして、今日一日だけは歎かず悲しまず、そうして人を恨まず、心の平穏を保って生きることにしましょう、と自分にいいきかせるのである。 といっても、妻はそのような老作家の態度を無責任であ…

小島信夫「うるわしき日々」

先日頼んだと言った付箋が届いたので、さっそく貼ってみることにした。今読んでいるのは小島信夫「うるわしき日々」(講談社文芸文庫)である。せっかくブログもやっていることだし、その部分を引用しようと思ったが、肝心の本を持ってくるのを忘れた。家で書…

読書瞬間2

それで、私は最近あまり本を読んでないなーと思ったら無性に読みたくなり、私は朝はネモちゃんを通学路の途中まで送っていくのだが、帰ると私が出勤時間まで30分くらいあり、最近私はそれを「ゴールデンタイム」と呼ぶ。ゴールデンタイムはいつ他の家族に…

読書瞬間

ここのところ本を読んでいないが、読んでいる気もするが、去年よりかは読んでいない。ブログのせいだ。ブログを読んだり書いたりして、同時に小説も書いてるからで、でもブログを読むことも立派な読書であるが、しかし読みかけの本が気になる。実は私はあま…

イメージで考える文章、言葉で考える文章

最近拾い読みのような感じで保坂和志「小説の自由」を読んでいたら、面白い箇所を見つけたので、引用する。ところで、先日まで私は「小説、世界の奏でる音楽」というのを読んでいて、それは同じシリーズの三冊目で、一冊目が小説の自由だ。つまり私はこれは…

結婚は人生の地獄

昔村上春樹の本を読んでいたら、それは読者の質問に村上春樹がメールで答えるという趣旨で、質問する人ももちろんメールだ。 「結婚している知人が「結婚は人生の地獄だ」と言ってますが、そうなのですか?」 という質問があり、「地獄」ではなく「墓場」な…

小島信夫「寓話」

書こうとしていることが3つほどあり、そのうち2つが幽遊白書と小島信夫である。書きたいことが複数あるというのは、私の中ではあまり良くない、というか選ばなかった2つはこのまま書かない可能性が高い。いや、そうでなくて、迷ったら全部書かない方がいい。…

突然の、小島信夫

いまだなつきさんのブログを読んでいたら、私はいまださんの読書ブログを少し前に知って、いつもとても楽しみに読んでいるのだが、それは、いまださんが保坂和志の「小説の誕生」を読んでいるからであり、私の周りには保坂和志はおろか、本を読む人というの…

この次も同じ人生

おとといかその前に保坂和志「小説、世界の奏でる音楽」を読み終わり、それは比較的楽しい読書であったが、私の弱点というか、欠点はついつい最後のページ番号を確認して、残りのページ数をかぞえたりして、あとどのくらいで読み終わるかとか、計算してしま…

夢十夜、ふたたび

少し前に、いつも読んでいるブログの方が、夏目漱石「夢十夜」に触れていて、それは第六夜の運慶が出てくる夢についてなのだが、それを読んでから、私は本棚から取り出して、読んでみた。そうしたら、それまで私はいい加減に書いていて、「彫師のひとが」と…

インターネットがなくなったら、世界は消滅するか

保坂和志の、ここのところずっと読み続けている本を読んでいたら、世界5分前仮説のことが取り上げられていて、驚いた。しかし、この前後の内容から私は書いてある内容が抽象的になって、あまりよく理解できないでいる。図書館の期限が来てしまうから、早く読…

檻は背景か

今、というか最近保坂和志の「小説、世界の奏でる音楽」読んでいるが、これはやはり今の出来事なのだが、とても面白いかしょがあったのだが、それよりも少し前も衝撃的な箇所があって、これも後で引用しようと思っていたが、今回の箇所はもう読んだ途端、最…

ドッペルゲンガー

また図書館へ行って、山下清とカラバッジョは潔く返し、保坂和志の「小説、世界の奏でる音楽」を借りた。以前にも触れたが、これは文芸誌に連載しているものをまとめたやつの3冊目で、私は以前1冊目と2冊目をすでに読んでいる。そして、買ってまた読もうと思…

土曜日の仕事

お昼にブログを書いていたら、珍しく筆の進みが悪く、そういえば今日は全体的にのっぺりしていて、今日はお仕事なのだが、体もすごく重かった。「お昼に」なんて書きながら、実は今もお昼なのだが、書き終わる頃には夕方くらいになっているから、お昼と書い…

自己矛盾

先日私の書いた記事について言及された記事があり、私はその中で「嘘を許さない」という立場になっていて、私はそういうつもりで書いたわけではなかったが、でもその人がそう書くのならそうだろうな、と思った。私の方も嘘と一口言っても色々あるから、別に…

思い出そうとすると忘れる

芸人は宵越しの金を持たないという言い回しがあるが、私は宵越しでここで書くネタを持ちたくないので、思いついたことはすぐに書いてしまいたいので書く。しかしいざ書こうとすると忘れてしまうことがよくあります。今などはそうだ。いや、実は書こうと思っ…

物書きは誰でもなれる

保坂和志が自分の小説論の中で、「小説家と役者は誰でも、ある日突然なることができる」と述べていて、さらに村上龍は「13歳のハローワーク」という著書の中で、「小説家はあらゆる職業の中の、最後の職業。医者や弁護士から小説家になった人はいるが、逆は…

夏目漱石、こころ

どういうわけか、私の周りで夏目漱石に書かれた文章が多く、多いと言っても2つだが、代わりに村上春樹は全く見かけない、いや、さっきみた。2つ目は「こころ」について書かれた文章であり、私は高校3年の国語の教科書で、多くの人と同じように初めて読んだわ…

アフィリエイト

昨日私は、このブログで夏目漱石のことを取り上げ「文鳥」が1番良い、さらには新潮文庫に併録されている「夢十夜」の考え方も好きだ、とかいた書いた。そこまで書いたのだから、文鳥のアフィリエイトでも貼れば良かったと思った。しかし私はアフィリエイトを…

南半球の死

百年の孤独という小説を読んでいて、小説はなんでもそうだがよく人が死ぬ。しかし最近はあまりそうじゃない小説もよく読み、それでもやはり何人かは死んだと思う。しかしあまり意味合いが違うと思う。私たちは先進国に住んでいて、あるいは私だけなのかもし…