意味をあたえる

文章としかいいようがない fktack@yahoo.co.jp

一目憎み

ケータイで「ツァラトゥストラはこう言った岩波文庫)」を読んでいたらタイトルの文句が出てきて、確かに一目惚れはあるが、その逆はない。逆と言えば厳密には「じっくり憎み」であるがこちらは普通にある。私たちはつまり、初見で相手を憎むなんてあまりにアンフェアだ、とでも思っているのか。あるいは憎むのにはエネルギーが要り、とても第一印象でどうにもできないということか。惚れるというのはいかにも軽い感情という感じがする。「一生愛する」は子供でもできそうだが、「生涯憎み続ける」というのはそれなりのインパクトがないと無理だ。

話は変わるが昨日テレビを見ていたら(私はテレビをよく見る)俳句の毒舌の女の人が出ていて、昨日の番組では俳句ではなく配偶者との馴れ初めのドキュメンタリーをやっていた。もうお互いおじいさんおばあさんなのだが、仲むつまじい姿を見て妻が、
「こんな関係になりたい」
と言うので私ものぞむところと思い
「じゃあ俳句をやろう」
と提案した。私としても夫婦である2人がお互いのデスクにパソコンを置き、その後ろに天井まで本の詰まった本棚が広がっているという光景について、悪くないと思った。そのためには日々新しい言葉を仕入れ、トレードしなければならない。私の俳句の提案に妻は
「そうじゃない」
と否定したので、君は表面ばかり見すぎなんだよと言いたかったが私は我慢した。あるいは私が本質ばかり求めすぎなのである。