意味をあたえる

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もののけ姫

宮崎駿の映画の中で1番の傑作は間違いなく「崖の上のポニョ」であると思う。その理由については語らないが、おかげで去年は「風立ちぬ」を観に行ったが、何か少し後退したような感じがして、がっかりした。私の記憶が確かなら、「風立ちぬ」は無料で観た。ワーナーの映画配信サイトに会員登録すると、映画一本を無料で見られるというキャンペーンがやっていたのだ。会員登録は、課金が始まる前に解除できるので、"実質"ではなく実際に無料で観れた。ちなみに違法ではない。ふと思ったが、無料で観たからがっかりしたのかもしれない。例えばチケット1万円の映画なら、私たちはそう簡単には低い評価をつけられない。
しかしいくらポニョが傑作であっても、私がそれを観たのは30歳を過ぎた頃で、そうなると、もうそこまでのめり込むことができない。では、1番のめり込むことができたのは18歳で観たもののけ姫である。もののけ姫は映画館で2回観た。1度目は友達と観て、そのあと両親と観た。その後帰りの車で感想の話となり(父親の車は煙草臭かった)母親は女の子の服は、一体だれが作ってあげたのかしら?と言い、父親は冒頭のやぐらのシーンで、やぐらの上にいるときと飛び降りるときでは、人物と建物の比率がおかしいのではないか、と言った。つまり父親にとって、この映画は冒頭の10分くらいしか印象に残らなかったのである。
最近また観たくなったので、レンタルビデオ店で借りることにし、レンタルビデオ店は最近まで近所に2店あったが、1店ら店じまいをし、残った方は駐車場が狭くて停めづらいところだった。そこで、私の家では今年の頭にブルーレイレコーダーを買ったので、ブルーレイのもののけ姫を借りた。
そうしたら、子供と一緒に観たのだが、見終わったあとに、
「最後はどうなったの?」
と聞いてきた。私は、
「今観たばっかじゃん」
と爆笑したが、実はもののけ姫には最後がないのである。世の中の人の多くは、物語とはハッピーエンドか、アンハッピーエンドか、ハッピーエンド風のアンハッピーエンドかその逆か、4種類の終わり方しかないと思っている。それはサッカーに例えると、あまりサッカーに詳しくない人は、サッカーのポジションは、キーパーとディフェンスとミッドフィルダーとフォワードしかないと思っているのと同じだ。だからもののけ姫を観た人の多くは、もののけ姫にはラストがないと思っている。そして宮崎駿は才能がない、ラピュタが1番だしまたそういうの作れば良いとか言う。
私はそのとき高校3年で、今の言葉で言えば、そのとき物語の奥深さに触れたのだと思う。ちょうどその少し後に村上春樹ねじまき鳥クロニクルという小説を読み、それはとても長い小説だが、やはり明確な終わりのない話で、そのとき私は決して面白いとか、最高とか思わなかったが、「なにかあるぞ」と思った。