意味をあたえる

文章としかいいようがない fktack@yahoo.co.jp

魚の絵を書くときには魚だとは思わずに

私は、できることならここで書いている文章とは、ここで書いている限りのものであってほしいし、でもそれならわざわざブログではなくてノートでもチラシの裏でも書いては捨てればいいし、そうは言ってもやはりチラシの裏なんかにうっかり書いてしまえば家族の目に触れてしまう恐れがあるし、子供ならまだいいが妻は嫌だ。さらに義父母はもっと嫌だ。だからブログなんですよと主張したいが、それならせめて非公開にすべきではないだろうか? 私はそういう風にしたことはないが、そういう設定があることは知っているし、そうやって誰の目にも触れられずにただ文字を綴られている人もおおぜいいるだろう。だから私にも自己顕示欲があるのだ。ここまで書いて、それならこのブログを例えるならなにかみたいなことを考えて、それは手紙を瓶に詰めて、海に流すという行為に近いのではないか、と思った。誰かに読まれる可能性はほとんどないが、0ではない。しかし、それは本当は0なのだ。本人もそれはじゅうぶん理解している。これ以上は書かないでおく。

ところで私は埼玉県という、海のない県に住んでいるから、「手紙を小瓶に詰めて海に流す」という比喩には、すこし無理があったかもしれない。だから代わりの比喩を考えて、それなら風船に括り付けて飛ばすというのはどうだろう? と思った。それなら私もやったことがある。だけど、あれは手紙というよりも花の種なんかを括り付けたほうが様になる。手紙をつけたらなんだか馬鹿っぽい。昔私の住んでいるそばに、風船おじさんというのがいて、風船で太平洋を横断すると言い出して、その人は役場の職員だったと聞いた気がする。当時はテレビ放送もされたと言うが、私はそんなのは全く知らず、後から誰かのギャグの中で聞いた。wikiで調べたら、今も行方不明だとか。そんな悲惨な結末なのに、なんだか馬鹿っぽくて笑える。風船に手紙をつけられないのは、そんな理由なのかもしれない。(注:風船おじさん以前は風船にも手紙はくくりつけられていた、風船おじさん以後はつけられなくなった、という意味ではない)
ところでさっき「海なし県」と書いたが、そのあと「空なし県」というのはないなと思った。

私はさっき自己顕示欲にふれたが、それにあらがうために、せめてできるだけ新しいことを書こうと心がけている。つまりそれは、例えばこのブログでは、まず最初にタイトルを書いて、それから1度完了してから本文のフォームにカーソルを合わせて書き始めるが、この作業の最中にまた別のことを考え始めて、タイトルでイメージしたことをほっぽって書き始めることがよくあるので、タイトルと本文がまるで噛み合っていないことがよくある。しかしもし私が読み手だと、つい抽象的な部分で繋がっているのかも、と深読みして勝手に解釈してしまうので、全く別々であるということに言及しておく。

そしてタイトルと本文が別であることにも触れたので、今日はタイトルに沿ったことを書く。タイトルに沿ったことを書きたくて、ここまで回り道をしたのである。
今日私はネモちゃんと2人で水族館に来た。水族館と言っても、じっくり見ても30分で一回りできちゃいそうな、川魚ばかりを集めた小規模の、トイレも汚なそうな水族館である。ふれあいコーナーにも、亀とザリガニがいるだけだ。外の池には鯉がいたが、先日誰かが夜中に薬品を混入させ、鯉はみんな死んでしまっていた。
ここに来る前に、ネモちゃんは私の義父に水族館へ行くと伝えたら
「たくさん勉強してこいよ」
と言われたので、ネモちゃんはそれを真に受け自由帳と鉛筆をカバンの中に入れた。そしてひと回りしてから一匹を選んで絵を書くわけだが、回っているうちに忘れてしまったので、もう一周した。亀は2回つかんだ。そしてニジマスを書くことにしたのだが、周りに人もいるので、私に輪郭だけを書くようにと命じた。私は書くことにした。ニジマスは一匹を除いて全員が、隅のほうへ頭を突っ込んでいたので、私はその一匹を書いた。私は絵を書くときにはできるだけ細部を見て全体を見ようとはせずに、文章も絵も一緒だよなとか考えながら、鉛筆を走らせた。できるだけ魚ではなく、網膜に写る色の濃淡を再現しようと心がけ、できれば生まれて初めてニジマスを見る気で書きたかった。そうしたらだんだんと愉快になってきたので、その後にヤゴと、すこし名前の長い魚の絵も書いた。こんな風にバランスをとろうとしてしまうのが、私の悪い癖である。

それから水族館を出て、その水族館とは公園の中にある水族館なので、公園のほうへ行き、屋根のあるテーブルと椅子のところに座り、ネモちゃんは私の書いたニジマスの中身を書き始めた。私は妻が握ったオニギリを食べながらそれを眺めた。ネモちゃんは色鉛筆を持ってきなかったので、とりあえず黒を丸、赤を四角、黄色を三角と置き換えて、記号を記入して行った。それからそれぞれの魚の名前の標識を、魚なら魚の形にしたら、ヤゴは何の形がいいのか聞かれたから、私はヤゴはトンボの幼虫だから、トンボがいいよと答え、そうしたらネモちゃんはトンボの絵がうまくかけなくて怒り、消しゴムで乱暴に消したので、ノートのその部分は黒ずんで汚くなった。