意味をあたえる

文章としかいいようがない fktack@yahoo.co.jp

寄付

甲子園で、自分の出身した高校が野球で甲子園に出場したら、卒業生が寄付をするという慣習がある。私は特に野球には興味もないので、そんな慣習があることを知らなそうだが、知っていた。ずっと前に、私の叔父の母校が甲子園に出場し、一万円を払った、と聞いたからだ。そのとき私は叔父の事務所でアルバイトをしていたので、その叔父のエピソードとは過去のことではなく、その当時のリアルタイムの出来事であった。バスを7台だか8台チャーターして応援に行く費用だ、と聞いたが、もちろんバス代以外のお金も必要だろう。正確なバスの台数は忘れてしまったが、まさか各クラス1台とか割り当てられないだろうから、もしそのバスに乗ったら他のクラスの人や、他の学年の人もいるだろうから、私は憂鬱だ。私がもし3年生ならもう理不尽なことは言われないだろうが、それでも嫌だ。私は今はともかく、昔は優しい顔立ちをしていて、よく初対面の人などに
「優しそう」
と言われたので、たとえ下級生でもなめられて、笑いものになる可能性が高い。どちらにしても、夏休みは休みなのだかは、私にとって休みとは人付き合いの休みでもあるから、もし応援に行くのが強制ならきちんと代休がほしい。私は野球にも母校にも興味はないのだ。しかしそういうのは自由さんがだから、私は行かないだろう。
しかし今現在の私だったら、関西方面に行くことは滅多にないから、遊びに行く気で張り切るかもしれない。当時はまだまだ頭が硬かったのだ。

と、妄想したが、私の母校には野球部はなかった。いや、あったのかもしれない。強かったのはレスリング部だ。学校にはレスリング場があり、私の学年の体育教師はレスリング部の顧問だったので、体育の授業もレスリング場で行われた。当人もレスリング経験者でずんぐりしていて、私たちは彼がとある野球解説者ににていたので、影でその名前で呼んでいたが、私は当時から野球には興味がなかったので、その解説者は知らなかった。代わりにある落語家に似ている、と言ってみたら友達は
「ああ」
と答えた。ある日レスリング場に、教育実習生が土足で踏み込み、その教師に殴られるという事件が起きた。私はそれを聞いて無理もないな、と思った。まだ体罰などがさほど問題にならなかった時代なのだ。しかし教育実習生は、高校生ではないから、この場合は体罰とは言わないだろう。しかし、彼も大学生で、誰かしらの生徒であるから、体罰なのかもしれない。