意味をあたえる

文章としかいいようがない fktack@yahoo.co.jp

私は昨日は朝にブログを書こうと思い、

朝から風呂に入り、なんとなく書くことを考えながら髭を剃り、そのときはまだ他の客はひとりしかおらずそれは白髪の老齢の男性であった。しかし私が髭剃りに没頭していると(そもそも私が朝に剃るのはめずらしいので)いつのまにか白髪の男性は、髪の黒い中年男性に入れ替わっており、その人は体を洗い終えると露天風呂の方へ行った。その頃には私も湯船につかっていた。

それから少ししてぽっちゃりした体型の中学生くらいの男の子が露天風呂へ行き、その男の子はその前には体の洗い場でプラスチックのつるつるした椅子に腰掛け、大きめの尻が小さな座面からはみ出していて、私はそれを眺めていた。私はその時は、顔などが見えなかったから、私と同世代か、歳上なのかもしれないと判断したが、露天風呂へ行くガラスの扉へ小走りで向かう様を見て、まだまだ若い人なんだなあと考えを改めた。ここの風呂は変わったつくりで、露天風呂へ行く扉は、中の風呂に面していて、そのためお風呂につかりながら、ドアを開け閉めする必要があるのである。しかも露天風呂は2階にあり、天井はあるが柵は貧相なつくりで外から丸見えなので、私はとても外へ出たいとは思わなかった。そう書くと私は自意識過剰のようであるが、宿のすぐそばには公共の足湯が備えてあって、朝から砂浜を散歩した恋人同士が仲良くそこで足についた砂を流しているのである。その向こうではホテルの朝市に出す野菜とか魚を運ぶ人たちの姿が、よく見えた。

そうして私が行きとは違う場所にあるスリッパを履いて、8階にある部屋まで戻ると、エレベーターの床は一部が剥がれてコンクリートが剥き出しになり、そして部屋には鍵がかかっていた。
「30分でもどる」
と言った私の言葉は、誰も覚えていなかった。あるいは、それが意味することを誰も理解できていなかった。このままドアの前で待っていても良かったが、ここのホテルの廊下は暑いし硫黄のにおいもするので、1階のロビーに降りて、そうするとテレビがつけられていて、さらには新聞がいくつか下げられていたので、私はスポーツ新聞を広げて読み出した。こういうところにある新聞は金具がつけられているので最初は手間取ったが、徐々に要領をつかみ、私は大学時代は図書館でよくスポーツ新聞を読み、イエローモンキーの解散を知ったのもスポーツ新聞であることを思い出した。正確には解散ではなく活動休止で、休止ならまだ可能性もあると当時の私は前向きにとらえたが、富士山だって休火山だがずっと噴火はしていないのである。

それからその大学の新聞が置かれている場所は、図書館の入り口のすぐ脇で、そこは正確には図書のコーナーではなく、その証拠に奥の図書のコーナーに行くには赤外線のゲートを通らなければならなかったからだ。
しかしスポーツ新聞のすぐそばにも何冊かの本は置いてあり、そこに村上春樹アンダーグラウンドがあって私はそれを読んだ。新聞コーナーは白い大理石の床に壁に沿ってひとりがけの椅子が並べられ、図書館内の椅子よりも座り心地が良くなかった。もう10年以上も前だからよく覚えていないが、2階まで吹き抜けになっていて、天窓があり、室内はとても明るかった。