意味をあたえる

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コストコへ行ってきた

日曜日だったが、七時半に目が覚めた。ネモちゃんは私に体をくっつけていて、いつもは私に対して垂直になることが多く、私のわき腹に足を押し込んだりしてくるが、今朝は平行だったから、寝覚めがよかった。しかし少し寒かった。掛け布団がつるつるしているから、ベッドからずり落ちたのかもしれないと確認したが、落ちていないから、私は不可思議な気分になる。結局毛布がずれていた。ネモちゃんも寒いから私に平行にくっついたのかもしれない。あと、枕の下の携帯が珍しく電池が切れていたから、充電しようと思うが、充電器は延長コードにつながっており延長コードはコンセントについて入っていないだろうなー、と思い体を起こしたら、やはり入っていなかった。コンセントは、私の足側の壁にあるから、私はかなり布団をめくらなければ、プラグをつかむことはできない。前屈の姿勢だ。しかし私はもう中年で、最近は運動もサボっているから、もうそんなに私の体は折り曲がらない。布団から出ると冷たい空気が私の体に吸い付き、体温を奪う。行きに寄った義妹の家の庭には、霜柱が立っていた。立派な霜柱だったので、私は踏みつぶしてみたが、子供の頃のような、小気味のよい音は鳴らなかった。大人になって、耳と地面との距離が開いたからかもしれない、と私は思った。義妹の家はまだ建てて一年くらいで、外溝工事はもっと最近で、そのためすべてが明るくてきれい。通路や塀以外は泥がむき出しだが、泥もきれいだった。そのうち芝生でも植えるのかもしれない。

それから義妹も車に乗せて、私たちはコストコに向かったわけだが、私は久しぶりにくるから、そこに至る道がとても混むことを忘れていた。駐車場もなかなかスペースが見つからず、私以外の人も降りていったし、もう帰ろうかと思った。実際に車が停められなくて帰ったこともあるが、そのときは妻にめちゃくちゃ怒られて、妻は車を降りたら寒かったからのんきに、
「来るときマフラー持ってきて、ヒョウ柄の」
なんて言ってきてので、
「帰ろうかな」
と答えたら、途端に不機嫌になった。しかし帰ったところで、また迎えにくるときも混んでいて閉口するから、私は辛抱強く待ったらやがて空いた。私は優しいから、そんなときはついつい他の待っている人に譲ってしまうのだが、もう私も三十代だし、多少はずるっこくなっても良いと思ったので、アクセルを勢いよく踏み込んだ。案の定、私の見えない角度に別の車が待っていて、あわよくばそのスペースに車を滑り込まそうとしていたが、私の方がポジションが良かったので、特に無理せず私は停められた。相手はレクサスだった。レクサスに乗っている人は、私からしたら王様か大臣のような人だから、譲らなかったのは大変無礼な行為にあたり、その場で切り捨てられても仕方ないのかもしれない。私は急いで車を降りて、もちろんマフラーを忘れずに、駐車場を後にした。確かに降りると思いのほか寒かった。

私は買い物にはあまり興味がなかったが、読ませてもらっているブログで、コストコのことを書いている人がいたから、行ってみたくなって来た。コストコに行くことは、朝になって8時30分になって起きてきた妻に聞かされ、妻は私はどうせこないだろうと思っていたから、そんな直前に報告したわけで、私が「たまには行く」と言うと、驚いた。しかし8時30分に出るんじゃ遅いのである。現地まで一時間くらいかかり、途中で義妹の家にも寄るのだから。私は、義妹の家は二度ほど訪れていたが、だいたいの場所はわかるが、細かい場所はわからないから、ナビを立ち上げようとしたが、妻が「私が案内する、とりあえずS方面」と言うから、私は「俺はタクシードライバーじゃねえんだよ」と言い返したくなったが、黙って発進させた。妻は車が走り出して暇になると、携帯のゲームを始めた。私は助手席のネモちゃんとおしゃべりをしていて、そろそろ近づいてきたんじゃないかと思ったが、特に何も言わなかった。すると妻が
「通り過ぎた」
と言った。次の交差点で引き返したが、車の向きが違うから、妻は
「わからないわからない」とだんだん不機嫌になった。私はコストコはもういいやという気持ちになってきた。交差点を左折し、また右折し、見覚えのある個人商店を見つけるまで、妻はわからないと言い続けた。わからないなら初めからナビ使えよと思ったが、結局迷わず着いた。個人商店ではクリスマスケーキの予約受付中の貼り紙がされ、全品10パーセントオフだった。

最後にコストコの私なりのおすすめポイントを紹介するが、それはトイレである。小便器の形が日本の店舗のものが異なり、私はいつも小便をしながら、アメリカに来たという妄想にふける。小便はすぐに終わるが、手を洗う流しもアメリカンデザインで、妄想を無理なく続けることができる。私は軽々しくアメリカンデザインなんて書いたが、もちろんそれがアメリカのスタンダードだとは知らないが、妄想に知識の有無は関係ない。