意味をあたえる

文章としかいいようがない fktack@yahoo.co.jp

宿題

ここのところネモちゃんが咳ばかりをしていて、熱はないようなので、本人は比較的活動的だが、私は病院に行って、こじらす前に治してほしいなあ、と思っていた。そうしたら、義理の妹が前日出産をして今里帰りをして、当然赤ちゃんが傍らにはいるのだがみんなが、
「見せて見せてー」
と群がるのだが、ネモちゃんは風邪っぴきなので、
「ちゃんと手を口にやりなさい」
「息を止めなさい」
と注意をされ、しゅんとしていた。去年までなら幼稚園児だったから、主役になれ、先生にも
ネモネモ♪」
と可愛がられたのに。

しかしそれをきっかけにして、病院へ行く気になったのだ。本当は私が、
「みんなに怒られて可哀想だから、つれてってやれよ」
と妻に言ったのだ。だから、行った。

もともと私の住むエリアにはとても人気の小児科があるのだが、そこの先生は他の病院の悪口ばかり言っている。子供の体のことを考え、正しいことを主張しているのだが、矛先が母親に向かうこともあり、妻はそこへ行く度に、
「緊張する」
と言っていた。話を聞くと、だいぶ驕っているように、私には思える。正しいことを言い過ぎたのだ。正しいことばかりいう人はキライだ。「怖い善人よりも、優しい悪人」ということわざを思いついた。

なので、最近は新しくできた小児科へ行くようになり、ネモちゃんも「いっしゅんで終わった」と満足げな様子であった。前はいっしゅんではなかったのである。

家に帰って薬を飲むと、彼女はすぐに寝てしまった。お風呂に入るから起こすと、案の定ぶち切れる彼女。
「まずは上だけ脱いじゃいなさい」
(上着のみ脱いで目をつぶる)
「上半身を脱ぎなさい」
「上半身ってなに?」
「うえ」
(腹の肉をつかんで取ろうとする)
「衣服を取りなさい」
「衣服ってなに?」
「ふく」

それから風呂に入ってすぐに寝たら、予想通り、いつもより早く起きた。今日は私だけが仕事だから、私だけが起きて支度して行くのだが、彼女に起こされた。下へ降りて私が納豆を食べてスマホに夢中になっていると、
「玄関そうじしてくる」
といなくなった。そういう遊びが流行ってるのかと思いながらも、「玄関を掃除しろ」じゃなくて良かったと思い、よりスマホに熱中すると、やがて戻ってきた。一枚の紙を見せてきた。

そこには一週間のお手伝いのスケジュールが書かれている。明日は料理、明後日は片付けであった。学校の宿題だった。できたらそれを絵日記に書く。私は子供の頃は絵も作文もまったく駄目だったから、自分の子供が書けなかったら積極的に助け舟を出そうと思っているが、子供たちはそういうのが得意なようだ。この前「書くことない」というので、考えてやったらボツにされた。