意味をあたえる

文章としかいいようがない fktack@yahoo.co.jp

町医者・白戸沢尚輝の事件カルテ15影武者村殺人事件30年前の復讐劇は、戦国時代の怨念なのか、はたまた事故なのか――まったく冴えない町医者・白戸沢が、難攻不落の密室トリックに挑む! 果たして謎の頭巾男の正体は!? 影武者に隠された意外な真実

昼間、目さんの回文春秋を読ませてもらっていたら、これだ! という感じがしたので、ミニドラマにしてみようと思う。目さんの提案で、白戸沢医師役は長谷川博己、看護師長役は高畑淳子となったので、それでイメージして読んでみてください。

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――ある午後の白戸沢医院。

(うららかな春の日差しが、診療室内にも降り注ぐ。診療室には患者がひとり)
「それじゃあ、心臓の音聞かせてくださいね」
(上半身の衣服を、たどたどしくまくり上げる中年の男性患者(温水洋一)。マスクをつけ、目もうつろだ。あくびをかみ殺しながら聴診器をつけ、心音に耳をすます白戸沢。昨夜は権藤(平泉成)のアリバイ崩しに夢中になり、一睡もしていない)

――ドクン......ドクン......

(不意に白戸沢の目が見開く。そうか、そういうことだったのか! 大急ぎで白衣を脱ぎ捨て、部屋を出る白戸沢。と、そこでいきなり、看護師長の高畑(高畑淳子)と鉢合わせする)
「患者さんをほったらかしにして、一体どちらへ行こうって言うんですか? 先生ッ!?」
「わかったんですよ、影武者のトリック。急いで神田刑事のところへ伝えないと」
「いいえ、行かせませんよ! (白戸沢を羽交い締めにする高畑)あなたは医者なんですから。ご自分の職責を果たしてください!」
「は、離してくれたまえ! 早く行かないと、あやこさん(中山忍)の命が危ないッ」
「危ないのは、この病院のほうです! このままこの白戸沢医院がつぶれたら、亡くなったお父上様に、どんな顔向けをしていいのやら......。(高畑は先代の白戸沢医師のころから勤めている大ベテラン)とにかくッ、診療をお続けください!」
「あ! あんなところに上半身裸の向井理が!」
「まあッ! どこかしら、わざわざこんなところまでお見えになって、お風邪でも召したのかしらッ? すぐにお注射の準備いたしますね」
(高畑はイケメンに目がない。このやりとりはシリーズではお馴染み。高畑がメロメロになっている間に、白戸沢は逃げ出す)
「あ、ちょっと! 待ちなさい! 先生ッ! せんせぇぇぇい!!!!」
「......あの、いつまでこうしてればいいんですか?」
(後ろからひょっこり現れる温水。上衣をまくり上げたままである。乳首はつややかなピンク色をしている。症状は軽そうだ)

――警視庁
(静寂を切り裂くような電話の音。強面の刑事(六平直政)が、受話器を乱暴に取り上げる。捜査が行き詰まっていることに、苛立っているようだ)
「はい、捜査一課! ......えッ、わかったんですか!? 影武者のトリック」
「おい! 目刑事! 急いで車を出してくれッ」
目刑事( id:ankoro )「はいッ」

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原作者の目さんには、新米刑事として出ていただくことにした。「影武者のトリック」とは、最初の犠牲者が残したダイイング・メッセージが回文となっており、それをさらに鏡に写すと、重大なヒントが浮かび上がる仕掛けになっていた。白戸沢医師は、患者の心音を聞きながら、そのことに気づいたのである。果たして白戸沢は、権藤の鉄壁のアリバイを崩し、事件の真相にたどり着くことができるのか!?

※原作はこちら

わざとらしい影武者怪しむ外科医・白戸沢! - 回文春秋