意味をあたえる

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バムとケロと志村とクワマン

絵本に詳しい人ならご存知だろうが、「バムとケロ」という絵本のシリーズがある。割と有名そうな絵柄なので、絵本に詳しくない人でもご存知かもしれない。私の家には二冊あって、気配としては10冊はありそうだ。タイトルは二つとも失念(あるいは最初から見ていない)してしまったが、片方が本を読もうとしたが部屋があまりに汚いので掃除をし、本を屋根裏に取りに行ったら虫がわんさかいて蛾はカラフルで最初本の表紙にとまっていたから表紙の模様かと思ったら蛾だったので、バムとケロはぎょっとした。バムは犬で、ケロは蛙を擬人化していた。それらの蛾やネズミを揚げたばかりのドーナツで気をそらしているうちに本を確保してドアを閉め、ようやく本にありついたと思ったら、眠くなって寝てしまうのである。屋根裏のドアとは天井に続く階段を兼ねていて、屋根裏の床のぶぶんにあった。天井、とは一階だか二階だか、とにかく普段生活しているスペースの天井であり、そこは屋根裏から見たら床だった。そこがぱかっと開くのである。

奇しくも一昨日くらいにフジテレビで「志村けんのバカ殿様」がやっていて、私の子供なんかはバカ殿様が大好きだから私も見ざるを得ないが、相変わらず優香とか出てきてパイを投げ合ったりして、
「前と同じじゃねーかよ」
と思う。ゴールデンで再放送なんて、フジテレビのやる気のなさったらない。相変わらずバナナマンの顔に沢蟹やドジョウが放たれたりする。バナナマンも若い。そんな風に見ていると、どういうわけか途中からとにかく明るい安村とか出てきて、私は混乱する。再放送と現放送が継ぎ目なく放映され、あるいは私が再放送と思っているのも、あらためて撮影されたものだったのだろうか。しかしバナナマンは若いから奇妙だ。あるいは私が超能力者かなにかになって、「バカ殿様」の時間だけ過去と現在が溶け合った超時空的ポジションにいるのかもしれない。

それでとあるシーンで志村とクワマンが竹刀で殴り合う場面があり、殴られ続けるのはクワマンのほうで、確かクワマンは奥さんにも逃げられ気の毒だ。しかし物語の中でも現実でも志村が目上だから仕方がないのだ。しかし物語の方にはいくらか希望があり、老中役のクワマンは、どうにか志村に一泡ふかそうと、逃げる志村の後をそっと追うのであった。志村が天井から垂れ下がった秘密の紐を引くと、天井から音もなく階段が降りてきた。これこそが、私が前々段落で言っていた、バムとケロが本を取りに屋根裏に入ったときに上った階段とそっくりだった。つまり志村とクワマンのくだりは比喩でした。私が天井が場合によっては床になるとか、ずいぶん回りくどい言い方をするもんだから、読者が混乱するといけないと思い、私が気を利かせたのでした。バムとケロが取りに行った本はカラフルな表紙をしており、しかしよく見るとそれらはすべて蛾の羽根の模様でした。それはすでにお話した通りです。一方志村を屋根裏に追い詰めたと思ったクワマンは、勢い良く階段を駆け上がるが、実はそれは志村の罠で、階段は薄いベニヤで出来ていたから、上った瞬間にそれは破れ、クワマンは床に転落するのだった。床も破れた。