意味をあたえる

文章としかいいようがない fktack@yahoo.co.jp

洋式便器対和式便器

サービスエリアで用を足そうと思い、車を斜め向きに走らせ、そうしたら私のイメージではサービスのトイレとは、そこで働く人よりも便器の数の方が多く、とくに私は男子トイレしか知らないが、都会の雑踏のように縦向きの小便器が視界を埋め尽くす。並び方は場所により円形だったり、列だったり背中合わせだったりバリエーションに富み、例えば家電量販店のように、便器の上方向、ちょうど目の高さに、
電動歯ブラシはいかがですか?」
などと、チラシをはったりしない。どうしてオシッコしながら歯磨きのことを考えなければならないのか。音波がいいとか。そういえば「伝染るんです」という昔の四コマ漫画に、公衆便所の縦長の小便器の横に、
「用を足すときは自分の性器の先ではなく、このイラストを見てください」
と貼り紙がしてあり、イラストとは昔の薬局にあるような象の擬人化されたイラストである。日常の排泄行為時の目線であるとか、性器を見ない場合の不安な感じとか、色々考えさせられる良質の四コママンガであった。当の漫画のオチとしては、強面の男が、
「ふん、ふざけるな。俺は性器の先を見てやるぞ」
とわざわざ宣言し(声に出すところが漫画っぽい)と便器に向かう。すると、警報がけたたましく鳴り響き、強面の男が
「わっ」
となって終わる。

ところで私が寄ったのは厳密にはサービスエリアではなくパーキングであったから、便所の規模は小さく、部落の集会くらいの便器しか並んでいなかった。個室はほとんどふさがっており、唯一空いていたのが和式便器だったので、私はそこに入った。用をたしながらふと、昔のチャレンジ(進研ゼミ)の読み物コーナーで、対決特集があり、そこで和式便器と洋式便器が対決していたことを思い出した。結果は和式の勝利であった。それぞれ男と女のキャラが魅力についてプレゼンするのだが、洋式の魅力は用を足しながら漫画等を読めること、和式の魅力はお腹が圧迫されるから、便が出やすい、とのことだった。私は当時はトイレに本を持ち込むなんてとんでもない、と思っていたから、妥当な結果であると評価した。

それから20年以上経った今、私はトイレの中でもスマホをいじったりする。紙の書物は臭いがつくような気がしたから持ち込むことに抵抗があったが、スマホはデジタル危機だから、臭いなんて曖昧なものがつくなんて考えられないから、抵抗なく持ち込むことができた。そうすると自然と本を持ち込む機会も増えた。