意味をあたえる

文章としかいいようがない fktack@yahoo.co.jp

風景20160514

図書館の駐輪場に停めてあるマウンテンバイクの泥除けが、ゴキブリの羽に見えた。B1と1Fのあいだの踊場の壁に花瓶があり、花瓶には花がさしてあったが、それらの形がなにかの漢字のように見えた。しかしそんな字は存在しなかった。歩道で子供が、反復横飛びをアレンジした奇妙な動きをしていた。子供以外は大人だった。その近くに刀剣商の四角い建物があって、それは私が子供のころからあるが、私が今の年齢の半分くらいの年齢の時に、バイパスが開通したのだがその建物にあたり、建物は刀で切られたみたいに半分だけつぶしてそこに道路が通った。看板には刀のほかに古銭も扱うとあった。私はひょんな偶然からそこの伜という人を見たことがあって、彼はいつも黒い手袋をしてジュラルミンケースを下げて仕事に行っていた。仕事と言っても、刀剣の営業をしているわけではなかった。

美容院に行ったらお腹の具合が悪くなった。髪を着る前にトイレを借りることにした。首にタオルを巻かれ、襟足から水滴が垂れたが、脂汗ではなかった。トイレは脱臭機能がついた綺麗なものだった。子供のころ便座を購入する際、母に脱臭機能つきのをリクエストしたが、
「意外と高いのよ」
と却下された。私は窮地を救ってくれたトイレを、ぜひ掃除したい気持ちになった。私はトイレ掃除は好きではないが、やり出すと没頭するタイプだった。

「朝からリアルゴールド飲んだのがマズかったみたいです」
と、トイレを出てきて私が報告すると、
リアルゴールドはヤバイッすね」
と美容師は同意した。美容師の顔がなにかの漢字に見えたが、そんな字は存在しなかった。

それから家に帰ってしばらくシカ菜と進研ゼミやってから、歯医者に行ったら、歩き方のだらしない女がいた。足の裏全体で地面を捉えるような歩き方で、ぺた、ぺた、と音がする感じを見て、
「だらしないな」
と思った。