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意味をあたえる

文章としかいいようがない fktack@yahoo.co.jp

新発売

昨日仕事帰りにコンビニに寄って、最初はなにかしゅわしゅわするものでも飲もうと思って立ち寄ったわけだが、隣の車に乗った男がオレンジ色の木の棒が刺さった固形のアイス(ガリガリ君?)を頬張っているのが見え、私は
「やっぱアイスにしよう」
と思った。しかしアイスというのは喉の渇きを潤すのには不適で、溶ければ液体なのに不思議だ。液体にしたところで、特別喉がうるおうわけではない。私は昔、よくわからない団体のキャンプというか、とにかく赤の他人同士が青空の下で一日がかりで何かを行う行事に参加したときに、大人の人が、
「休憩時にはアイスが出ますよ」
と言ってくれ、私は嬉しかったが、私よりも二、三年上の男のグループの人たちは、
「アイスは喉がかわくんだよなあ」
と嫌がっていて、大人だな、と思った。小学生の頃は、二年三年の差はかなり大きかった。それで休憩になると大人の集団は段ボールを持ってきて、中には凍らす前の棒アイスが入っていた。棒アイスというのは、凍らせた状態で真ん中で折り、すると折口はビニールがかかっていないからそこに口をつけてすするアイスで、私は正式名称を知らず、昔から棒アイス、と呼んでいたが人によってはポッキンアイスとか、チューベットとか、ちゅーちゅー呼んだりしていた。私は棒アイスは幼い頃は喜んで食べたものだが、少し大きくなると、味や外観に芸がないから、すっかり物足りなくなり、あまり食べなくなった。しかし棒アイスはニセット一組を分け合って食べるアイスなので、こちらの人数が偶数だと、数合わせで食べさせられることもあるから、私はますます好きじゃなくなった。食いしん坊はニセット丸ごと食べた。

その棒アイスが目的も理由も忘れた三十年近く前の夏の行事で配られ、大人たちは先の
「アイスじゃ喉が乾くから、ジュースがいいなあ」
という少年たちの声を受けたのか、半分は凍らせてクーラーボックスに入れ、もう半分は段ボールに入れて寄越したのである。私はそういうことじゃないよ、と内心呆れたが、少年たちは
「やっぱジュースだよなー」
と、ご満悦の様子だった。私は、こんなアイス崩れの代物に満足するなんて、大したことないなと思った。私は岩場に腰掛けてひとりでアイスを食べた。そこには知り合いはひとりもいなかったからである。

ところで、タイトルの新発売だが、昨日私はコンビニに寄って、あずきバーを買ったのだが、そのとき応対した店員がむさ苦しいタイプの男だが、名札の所に新発売のシールが貼ってあった。私は彼がむさ苦しいからからかわれてシールを貼られたのか、心配になった。他に店員は二人いて、ひとりはびっくりするくらいの美少女で、もうひとりは並の少女だった。二人は同じ髪型をして二人とも小柄であり、一方新発売は大柄なので、無線LANに例えるなら、男が親機で少女が子機だな、と思った。