意味をあたえる

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本当の面白さとはなにか

小島信夫「寓話」を読みながら、私はふとこの小説を面白いと思っていないのではないかと思った。それは単に保坂和志
「面白いよ」
と言っているのをトレースしているだけで、なぜトレースするのかというと山下澄人が、
「保坂さんはすごい」
みたいなことを言うからである。山下澄人をすごいという人は、ほとんど見ないから私は自力でその魅力を見つけ出したわけだが、それも勘違いなのかもしれない。なにしろ足場が不安定なのだ。

しかしこうして書いてしまうと、私はむしろ彼らの面白さを理解しているからこそ、このように書けるのだと、その確信のようなものに苛立ちを覚える。なので、以下に最近放映されている嵐の大野君と、先日の朝ドラに主演していた女優の波瑠さんが出ているドラマについて書きたい。

一体何話なのかは知らないし、また何が面白かったのか今となっては全く思い出せないが、ある日の放映を見て、私は終始ケタケタと笑っていた。大野と波瑠の掛け合いが面白かったのか、大野にチャチを入れる小池栄子が面白かったのか。小池栄子は私が「クレイジージャーニー」という世界のクレイジーな旅人か、世界のクレイジーな人を取材する旅人を紹介する番組を熱心に見ているから、すっかりお馴染みとなった。私が子供のころはエロ本の表紙に水着で登場したり、やたらと男の性欲を刺激してばかりで、にもかかわらずリターンは極めて小さいという嫌な女だったが、服をちゃんと着るようになってからは、魅力を感じるようになった。小池さんにかんしては、20世紀少年の映画の役も好きで、他の登場人物が原作ファンを満足させようと、外見を必死に似せようとしているのに中で、小池さんだけは小池さんのままで登場したが、とてもしっくりしていた。ちなみに私は小池さんがやった役の女性は、水前寺清子がぴったりだと思うが、水前寺清子では年をとりすぎている。

小池さんはドラマでもバラエティでも堂々としており、コメントも直球で的を得ており、私生活ではもっと傲慢で嫌な女なんだろうと想像をかき立てるところも魅力だ。対して大野のライバルホテルの社長の役の人は、私からすると社長というより、タブロイド誌の記者とか、そういう役が似合っていると思うが、なんにせよ性格が悪かったり、キザだったり嫌味だったりするが、見れば見るほど
「この人は本当は性格の良い人なんだろうな」
と思えてきて嫌だ。きっと本人も
「俺は本当はすごく良い人ですよー」
と思いながら演じているに違いない。