読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

意味をあたえる

文章としかいいようがない fktack@yahoo.co.jp

何をしゃべっているのかわからなくなる

何年か前、もう10年近く前か、四階の狭いミーティング室に部署内の人が全員集まり、私たちは少人数だったからその狭い部屋にもおさまった。七階が全体で会議フロアになっていて、そこは大小さまざまなスペースがパーテーションによって仕切られている。思い切りジャンプするか下から覗き込めば隣の部屋を覗き見することができた。ゴキブリならば縦横無尽である。私の普段仕事している場所も四階だったから、七階よりも四階でミーティングをやるほうが楽だったが、きちんと部屋となっているそのスペース自体も好きだった。私は部署のメンバーも嫌いではなかった。前の前の前くらいの勤め先である。上司以外は若くて、みんな何かしら苦労の種を抱えていた。女性は二人とも美人だった。ひとり、元ドコモの店長をやっていたという人がいて、その人は社員旅行でハワイに行った。しかし結局精神に疾患を抱えて辞めた。疾患は今も(当時の今)続いていて、何か上司にへこまされたりすると翌日は決まって仕事を休んだ。お腹をくだすからである。そうすると決まって女性の気の強いほうとあと、橋本さんという私の向かいの席だが一体どういう業務を担当しているのか見当もつかない、しかし肩書きは一応マネージャーで無駄にイケメンで声が枯れ気味の橋本さん、彼と七瀬さん(気の強い女)が、
「タクちゃんはホント脆いなあ」
と彼の脆いところについて飽きれ気味に論じ合うのだった。二人が社内では最古参なのだった。私は派遣だし、結局半年で期間は延長しなかったので、精神のタフさはあまり求められなかった。

ミーティングには橋本さんが来ることはなかった。小さめのノートパソコンに向かっていつもなにか書き物をしていた。それ以外はどこかに出かけていた。上司とも仲が悪かった。橋本さんと七瀬さんは古参で仲が良かったので、論理的に七瀬さんと上司も仲が悪くなるわけだが、上司のほうは七瀬さんを買っていた。買っていた理由は後になってわかった。社長に怒られたときの防壁にしようとしていただけだった。

私はこの会社には半年しか勤めなかったが、ミーティングについてはよく覚えている。小規模なミーティングばかりの会社であった。部署内には途中から中国人が増えた。中国人はひとりなら大人しいが、ふたりになるとうるさかった。何をしゃべっているかわからないから、二人とも声が大きかった。二人とも女である。ひとりは背がとても高く、もうひとりは色白で目つきが悪かった。色白とは一度も会話をしなかった。

いつになったらミーティングでしゃべっていたら、何の話か全くわからなくなった話になるのか。ある程度のときが経つと、話したいことがたくさん出てくる。