意味をあたえる

文章としかいいようがない fktack@yahoo.co.jp

今日から甥が

義理の妹が二人目を出産し、しばらく私の家にくる。二人目も男だ。一人目は歩けるが、まだ言葉はしゃべれない。なにかルールや約束を取り付けても通用しない相手なので妻が夜に掃除を始めた。妻は言葉をしゃべれるが、話が通じないこともある。私もそれにあわせて、わざと通じない風にしゃべることもある。全く建設的ではないがそうなってしまうときもある。この前私は眠くて仕方がないときにいきなり絡まれて、もちろん私の言い方が妻の癪にさわったのだろうが、私としても眠くて眠くて仕方がなかったのだから勘弁してほしい。昔友達とマリオカートをやっていたときに、私が新たな走りを見いだしたら友達が
「貸せよ」
と言ってきて、普段の私なら「ちょっと待ってくれ」とか言えたのだがそのときはプレイに夢中になっていたから「うるせー黙れ」とか言ってしまい、気づいたら友達は頭から湯気を出して
「もう帰れよ」
とキレ気味に言った。彼の家だったのである。彼の家は襖の向こうに流しがあって、そこの板の床はつるつるとよく滑った。そのときはなんとも思わなかったが、今の私からしたら二階に流しがあるなんて贅沢である。その贅沢な襖の前で彼はキレまくり、ふつう誰かがキレているときというのは相手も怒っていたり、そうじゃなくとも感情的に穏やかな状態じゃないものだが、私は前述の通りマリオカートに夢中だったからどちらかと言えば爽快な気持ちであり、こんなにキレまくっている彼が不思議に思えた。しかし帰れというから帰ることにした。私も確かに乱暴な言葉づかいをした記憶はあるが、なんというかそれは私でない私がしゃべっていた。別人格というと私以外の私が加算されたような描き方が小説などではされるが、私が半分とか違うことに引っ張られても全然違う自分が現れるから、これは引き算の別人格とでも呼ぼうか。とにかく眠かった私はそういう状態だったから大人しく寝かせてくれれば良かったのである。

甥がやってくるというので妻は夜中に掃除を始め、私はすでに風呂に入っていたからもう手伝いたくはなかった。私は昼間に自室に掃除機をかけ、あと洗濯物もやったからそのくらい拒否する権利はあると思う。