意味をあたえる

文章としかいいようがない fktack@yahoo.co.jp

テレビの音

昨日蛍光灯の音について書いたが、そういえばテレビの音というのもあった。テレビの音は別に普通なのかもしれないが、よくビデオを見ているときそのときテレビの方は「ビデオ1」にしなければならず、そうして録ったビデオを見ているときはいいが見終わって友達の家とか自室に戻るときなんかにビデオの電源だけ切って、テレビはそのままということがある。どうしてテレビを消し忘れてしまうのかというと、「ビデオ1」はビデオが消えていると真っ黒の画面になってしまうからである。「ビデオ1」とはテレビの話です。だから、消えているのと同じだから私の妹とか消し忘れるのである。そのあとしばらくして私がどっかから帰ってきて部屋に入ると
「あれ?」
という気になる。なんだろうなんだろうと思いを巡らせるうちにテレビがつけっぱなしだと気づいてリモコンの赤いボタンを押す。ぶつっと一瞬光ってテレビは沈黙する。まるで隠れていた亡霊を退治したかのようである。それまでもテレビは沈黙していたが、部屋に誰もいないと、何かが発せられている。まさしく違和感、と言った具合のわずかに感じる程度の音、あるいは何かなのである。ふだんいろんな文章で違和感、違和感と書かれ、それがかんじるものなのか覚えるものなのか、論じあったりするが、ブラウン管のテレビが一台あれば、どんなものなのかわかると思う。今のテレビもそんな音がするのかはわからない。家にあるテレビには「ビデオ1」はないし、つけっぱなしにしていても「信号がありません」と言って向こうから切ってしまう。とても親切だが、そのぶん立ち上がりは遅くなった。コンピューターというものの仕業だろう。そのうち掃除機や換気扇もああいう感じになるのだろう。嫌な未来だ。