意味をあたえる

文章としかいいようがない fktack@yahoo.co.jp

連帯責任2

昨日の続きだが何故昨日ぜんぶ書かなかったのかというと、私は仕事帰りにホームセンターに寄ってネジを数個買ったら、もう書きたくないという気持ちになったからだ。ホームセンターは東京ドームのように広く、私が子供の頃はもっと小さかった。それは子供時代にはお父さんのチンコが大きく見える的な比率の問題ではなく、昔の方がスーパーマーケットと大差ない広さだった。子供時代のほうがお父さんのチンコが大きく見えるというのは、昔「明石家マンションという番組に王貞治の娘がゲストで出ていたら娘は、
王貞治はアソコもすごい」
みたいなことを述べ、するとさんまは例の受け口の形の笑い声を上げながら
「それは子供だからそう見えただけである」
と意義を唱えていた。私は確かに自分の父親のチンコもでかいなあと子供時代には思っていて、一方私の方は大きくなってもそれほどでもないことを不思議に思っていたが、このやりとりで合点した。父のチンコ、も一緒に温泉などに行ったら確認できるだろうが、温泉なんて母の還暦祝いに行ったのが最後ではなかろうか。旅行は何度か行ったが、それはどこも共同風呂のない場所だったから父の裸をみる機会はほとんどない。母に至っては全くない。

それで昨日の続きだが、暴力をふるう教師はまだまだいて、その中に「テストの後の最初の授業はテストの答え合わせをするから問題用紙を忘れないように」と念を押す教師がいて、忘れるとどうなるのかというと、彼がいつも持ち歩いている竹の棒で頭を叩かれるのである。奴隷根性がすでに染み付いた私はとうぜんその予告に震え上がり、前日には問題用紙を大事にノートに挟み込み、前日の晩と朝にわざわざバッグから取り出してわざわざ消え去っていないことを確認したが、忘れた人がいた。私は自分が忘れずに済んだから、どうしてこんな簡単なことができない人がいるのか理解に苦しんだが、その人は目つきが悪くて頭が悪い人で、どう頭が悪いのかというと、陸上部に所属していて短距離が早かったが、ハードル走になると並以下の記録しか出せず、要するに歩数だとか左右だとかがこんがらがっちゃうタイプなのだ。あと陸上用のスパイクの裏側を私に向けたりと、物騒なぶぶんもあった。私は彼が問題用紙を忘れても、とくに気の毒には思わなかった。しかし教師のほうはまさかあれだけ念を押したのに忘れるとは思っていなかったようで、頭の上に狙いを定める姿は、どこか自分の発言に責任をとるような本意でないような雰囲気が醸し出されていた。ゆっくりと竹の棒を振り上げ、その様子は処刑シーンのようだった。

ばちん!

頭蓋骨が堅いので竹は一瞬バウンドした。叩かれた方は特に痛いともなんとも言わなかった。

それから20年経って子供の卒業式に出たら、その教師がいたのでぎょっとした。娘のとなりのとなりのクラスの担任であった。なんで一年生のときには気づかなかったのか、あとから訊くと今年急遽赴任してきたとのことだった。私が竹の棒で殴ったことを話すと、
「とてもそうは見えない」
と私の子供は言った。妻は知らないからテレビを見ていた。普段はニコニコしているのは今も昔も同じだから、とても人を殴るようには見えないのだろう。今はもう殴らないのだろう。よくも20年も続けてきたと私は思った。「今日から殴るのやめよう」と思った日があったのか。たまたま同学年の若い教師が女子生徒を殴ったとかで少し前に問題になった。それは若くてハンサムな数学教師だったが、そこだけ聞くと「生徒諸君」のようだな、と思う。あれは国語の教師と数学の教師が、家庭科の教師を取り合うのだ。数学教師のほうがどう見ても美男子だが、ナッキー率いる悪たれ団が、国語教師に肩入れして最後は結婚まで持ち込むのだ。
「悪たれ団て、アホか」
途中から出てくる関西弁キャラが、転校生としてやってきてナッキーたちをからかうが、確かに私も読みながら「悪たれ団て恥ずかしいな」と思っていた。私が恥ずかしいのはメンバーの自己紹介の場面で、メンバーには学級委員長と副委員長がいるが、それぞれ委員長、副委員長、というニックネームで、自分でそういうニックネームですよ、と言うのである。そこが恥ずかしい。しかし委員長、副委員長が悪たれ団だなんて、総理が山口組、みたいな後ろ暗い感じがする。しかも委員長と副委員長は恋仲なのだ。

若い数学教師は女生徒を殴り、そういえば私を殴った技術科の教師もすらっとしてハンサムだった。その後彼は芋っぽい書道科教師と結婚し、私はメシが冷めてるとかで殴られるんだろうな、と書道教師の未来を案じた。