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意味をあたえる

文章としかいいようがない fktack@yahoo.co.jp

アフター・バレンタイン

この前「100分で名著」という番組でレヴィ・ストロースが取り上げられていて、その中でクリスマスとはそもそも贈与の季節が由来であり、冬至のころには死者がやってくると言われていてそれらを宥め、もてなしたことがルーツであると言っていた。ちょうとバレンタインの季節になって、私の家族が「どうしてバレンタインがあるんだ」というから、バレンタインもそうした人間は日が短いと贈り物をしたくなる風習にのっとったものだと思い、上記のことを説明した。しかし私の家族がそんなことに興味がないのは明らかで、しかも私は100分で名著を録画したままなかなか見ないからレコーダーのハードディスクを圧迫し、ただでさえ100分で名著は目の敵にされているのである。そんな風だったので私は早口で思い切りコンパクトに、バレンタイン=贈与の季節論を展開したが、途中からみんなうんざりした顔をした。

私が初めて勤めた職場は、いつも事務所に3人しかおらず、そのうちひとりは女だったが、バレンタインにはチョコレートをくれた。しかしいくらか情緒が不安定なところもあり、不安定というかプライドが高くて暴走気味になることが多く、それを咎めると途端に機嫌が悪くなり、そういうのが2月の初めにあるとその年のバレンタインはなしになった。なしというのはつまりホワイトデーもなしで、そう考えるとホワイトデーは100%バレンタインに依存する行事で、アンフェアなかんじがする。あと、2月頭に女が不機嫌になって、あたかも有史以来、バレンタインなど存在しなかったかのように振る舞わなければならないのは、息が詰まった。チョコそのものはほしくなくとも、チョコを話題に出すと、みんなバレンタインのことを考えて気まずくなった。そういうのが少人数で仕事をするときの悪いぶぶんだった。