意味をあたえる

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バロワが死んだ

バロワとは私が今読んでいる「モンテ・クリスト伯」の登場人物で老僕である。仕えているのはノワルティエという皇帝派の男で今は年をとって中風になって身動きも言葉もしゃべれない。皇帝とはナポレオンである。ノワルティエの息子は検事で王党派であった。そして検事にはヴァランティーヌという娘がいて娘を嫁にあげようとしている相手はフランツ・ドブレーというがドブレーの父は同じく王党派でかつて決闘でノワルティエに敗れて死んだ。それが婚約の際に明らかになって結婚は反古になった。


それから何日かしてバロワが死んだ。夏の暑い日にレモネードを飲み干したらそこに毒が入っていたのである。炎天下を歩き回ってふらふらになったところに毒をがぶ飲みしたのである。レモネードはもとはノワルティエのところにあったがヴァランティーヌが汗まみれのバロワを気の毒がってレモネードをついであげたのである。バロワが死ぬ間際ヴァランティーヌの父で検事のヴィルフィールは
「オレンジエードにすれば良かった!」
と娘に叱った。


話を整理すると毒はノワルティエを狙っていたが横入りしたバロワが死んでしまった。毒はノワルティエも飲んでいたがノワルティエがなんともないのは普段中風の薬を飲んでいてそれで毒に耐性があったからである。あわれなバロワ! それにしても私はこの小説にかんしては登場人物の名前がすらすら出てくる。「モンテ・クリスト伯」なんせ七冊か八冊もあるからくどくてくどくて嫌でもおぼえてしまうのである。最初のうちはかったるいやり取りの連続だったがクライマックスが近づくと人がぼこぼこ死に出す。私は今六冊目を読んでいる。カドルッスも死んだ。カドルッスは主人公の家の隣に住んでおり登場人物の中で唯一伯爵等に出世しなかったあわれな男である。