意味をあたえる

文章としかいいようがない fktack@yahoo.co.jp

おそろい

昨日道を走っていたら隣の車線に同じ車が前後に並んで走っていてどちらも鈴木のスイフトのシルバーだった。それで私はその日は美容院に向かっていてやがてついたがその日は美容師の妻が誕生日なのだと教えられた。月末で忙しいらしく妻も一緒に私や他の客の頭を洗ったりしていた。いつも店内で映画を流しているが前にも見たやつだったので忙しくて映画を替える時間も確保できなかったのだろう。もっとも私は映画にちっとも詳しくないからそれはぜんぜん別の映画かもしれずどうして同じ映画だと思ったのかというとそれはいつもだいたい小林聡美が出ているからだった。もちろん私だってひとりの俳優が別の映画にでることくらい知っているが小林聡美があるときは別の小林聡美になるということは起きないのであった。いつもそこの映画は音がないから話がちっともわからないがだいたい小林聡美は不機嫌そうにしているのが常だった。私の知っている小林聡美は「きらきらひかる」というドラマの小林だがそこではいつもおちゃらけたことを言っていて一度だけ深津絵里にぶち切れていた気がする。小林と深津が解剖医で松雪泰子が刑事だったあとひとりかふたり出ていた気がするが忘れた。阪神大震災を取りあげていた気がする。そのときは震災を取り上げることに「早いな」と思ったがもうあれから20年経った。私は例えば100歳だとか80歳だとか運が良ければ生きるからそうなったときの未来が確実に存在すること(私がいるかは知らないが)を認識するがある出来事に焦点をあてその後の10年20年があることを不自然なくらい想像できない。それは出来事を「昨日のように」思い出すこととも関連があるかもしれない。


帰り道に今度は色違いの水玉のワンピースを着た二人組がいてひとりは白のもうひとりは茶色のソックスを履いていてそこだけ違った。横断歩道をとちゅうで引き返した。役所の前だった。それから本屋によって駐車場で空を見上げたら大きめの鳥が飛んでいてすぐ後に短歌の目に参加しようと思ってお題を見たら最初が「流」で特に思いつかないから「鳥が流木のように飛ぶ」なんてむちゃくちゃなことを書いた。しかしそれはあながち間違いではないのだ。