意味をあたえる

文章としかいいようがない fktack@yahoo.co.jp

冬の朝

子供が寝坊をして私は毎朝駅まで送っているが約束の時間に車で待っていてもいつまでもこないから家に戻って様子を見たらまだ寝ていた
「休みでしょ? 学校まで送ってって」
と言うから冗談じゃないと思ってとりあえず下の子を起こしたら妻も起きて
「遅刻するなら休ませちゃえば」
と言ってくるからどういう神経してるんだと思い「やっぱ送る」と言った 遅刻するくらいなら休むという発想はないこともないが 昨晩寝ていてふと目が覚めたら妻が「ディズニーランドがどうこう」言っていて私は弟の結婚式の祝儀がどうこうと騒いでいたくせになんで終わったとたんディズニーランドなんだよと思ったが特に口には出さずしかし遠まわしに「お金大事に」みたいな風を匂わせたらすっかりへそを曲げてしまい干してあった洗濯物をその辺に投げ始めた 洗濯物は乾いていたからいちおう取り込んでいるということになるがどう見ても投げていた 私はベッドから半身を起こしてそれを見ていた 洗濯物は隣の部屋に取り込まれていた 妻がそのうち私の視線に気づいて振り向くかと思ったがそのまま電気を消して出て行った 私はその後の記憶がない


学校は家から一時間のところにあった 朝だからもっとかかるかもしれない 橋が混んだ 橋が混むという話は昔から聞くが通るのは初めてだった 私も毎朝橋を渡って会社に行くがこんなには混まなかった 釣り堀があって以前ほとりの木の上で猫が本気モードのケンカをしていた 釣り人は平気な風をしていたから余程仲の悪い猫なのだろう 私の橋の風景である 今日のほうは何も見えなかった 少し行くとナビが
「道路事情を考慮し、ルートを変更します」
と宣言した 少年刑務所の前を通った 小さな看板に「250m先 ポストが目印です」と書いてあった 面会人が必ずチェックするポストだと思うと郵便配達人も緊張するのではないか


それからあまり家のない道を行きとちゅうに変わった形の建物があってそこは保育園だった 保育園や幼稚園は変わった形の建物が多いから私は好きだった 母親の拳を力強く握りながら幼児が門をくぐった 握っていたのは母親かもしれない 


ナビのルート変更が効いたのか思っていたより早く着いた 子供を下ろしてガソリンスタンドでガソリンを入れ元来た道を返すとまだ歩いている生徒がいた ナビは違う道をさしたがまた保育園と少年刑務所(看板)が見たくて道を間違えないよう気をつけた 腹が減ったのでコンビニに寄った トイレを借りると汚いトイレだった おにぎりを買うと店員がびっくりするくらい気さくで丁寧だった 余程トイレ掃除が嫌いな人なのだろうと推察する