意味をあたえる

文章としかいいようがない fktack@yahoo.co.jp

途中式(3)

今は夏で子供たちは夏休みに入っている 夏休みなので宿題があり小学5年のシキミに読書感想文の添削を頼まれた 私が父なのである 私は最初はしぶったがシキミは私が文章についてのスキルが相当であると見抜いていた 私は5年くらい前からほぼ毎日のようにブログでまとまった文章を書いていたので上手い文章を書くことはわけないことだった また私も今日は休みだった 数日前にも一度「削れるだけ削ってほしい」と言われ「心に残ったことが2つあります」のひとつを止めにしたらどうかと提案したら却下された 捨てられた複数の犬についてのノンフィクションでありひとつは経営破綻した犬の引き取りのエピソードでもうひとつは虐待を受けた複数の犬の里親探しであった 虐待というか通り魔に近く複数の犬が耳や足を刃物で切られたのである 犬猫の犯罪は罪が重いが犯人はつかまっていないというぶぶんをカットしたらどうかと持ちかけた シキミが強調したかったのは報道によって里親候補が殺到したがほとんどの人がちゃんと耳や足がちょん切られた犬を希望し切られた程度の犬は見向きもされなかったぶぶんだった


ところが今日になって犬猫の虐待は罪が重いことと犯人がまだつかまっていないところを復活させたいと言ってきた 実は本文を短くしたかったのは学校から支給された本番用の原稿用紙を下書きで使って赤で訂正まで入れ残ったのが5枚中2枚でだったからで3枚の内容を2枚にしたかった 私は小学のころは作文が苦手で3枚書いたのは秋の収穫祭で出た餅をクラスでいちばんに食べ終わった模様を書いたときだけで餅で浮いた時間を作文に充てられたせいかもしれない とにかく私は昔は体が弱くて給食を早く食べれる人にあこがれていたぶぶんがある 給食が遅かったり残したりするのは恐怖だった 青木という男が特に遅くて食べ終わる前に他の人の片付けが終わって机じゅうに食べかけの給食が残ってしまうという事件があった もう30年以上も前の話だが遠ざかるほどあれは夢じゃなかったのかと思う 本人も悪夢だが担任の頭も相当だった 若い女の教師で入学して最初の担任だったが以来若い女の教師は要注意だと思うようになった


私はシキミの作文を添削しながら自分が同じ言い回しを嫌って読者を甘えさせず読者は自分から意味を取りに行くことを期待していることを悟った シキミの作文からは「この」や「その」を排除した「事件」という言葉も起こったのは事件に決まっているから消すべしと指導した 「この事件は大きく報道された」のぶぶんについては「この事件」が何も指していないからかわいそうな子犬の様子を書いた方がいいと指導した 原稿用紙は新しいのを購入したのでもう枚数の縛りはなかった