意味をあたえる

文章としかいいようがない fktack@yahoo.co.jp

ディーゼルのブーツ

ところで私の靴にはまだ泥がついている。


今日の帰りにロッカーの前でJさんとすれ違ったときに「涼しそうな格好してるね」と言われたが、私自身も今日の格好については割と気に入っており、だからなおさら靴の泥が気に食わない。泥など少しティッシュを湿らせて拭き取ってしまえばいいが、今のスニーカーはもうだいぶくたびれてきていて、そこをきれいにしたところで、足元がいい感じになるわけではない。だいたい買ったときから気に食わないスニーカーだった。アディダスの1990円のやつで、この値段なら、と思って買ったから、やはり履くたびに何かに妥協したような、後ろ向きな気持ちになってしまう。

しかし、私は少し前に買ったのだ、青いデッキシューズを。だがこれは梅雨が明けてからと思って、まだ下ろしていない。下ろしたところで、この一足だけではまだまだ心許ない。スニーカーなんて、二度と履くもんか、と思う。

私はそう言えば、数年前までディーゼルというブランドのブーツを所持していた。ブーツと言っても夏でも大丈夫そうな、むしろ冬には履けないような作りだった。当時の私はあまりそれを履きこなすことができず、おかげでそれはあまり汚れなかった。しかしはいていった時もあり、その時はとある宴会場で宴会をやった時で、女の中年の給仕が、私の靴を移動させようと持ち上げ、その時に

「あら、随分軽いわねぇ」

と言ったのだ。確かにブーツにしてはそれは軽く、また底がうすかったのである。

しかし私はある時それを手放したのだが、妻に「履かないのなら捨てろ」と言われ、私としてはどこかぼろがきたわけではなかったから、まだ所持していてもいい気がしたが、妻は靴はひとり一足という考え方の人なので

「じゃあ捨てちゃって」

と委ねた。しかし私がちょくせつ捨てたわけではないので、もしかしたらまだあるかもしれないと、一昨日あたりに下駄箱を覗いたら、やはり義父の靴しかなかった。義父は複数の靴を所持している。


それから今日の帰り道、フットサル場の駐車場の前で、犬をだっこしている男がいた。男はうつむき目は血走っており、犬をは首のあたりを腕で抱え上げられており、苦しそうであった。私は犬には詳しくないので描写はできないが、白系の、毛の生えた犬だった。ところが、よく見ると犬だと思っていたのは男の上着であった。作業着で、今日は思いのほか暑かったから、男は上着を脱いだのだ。