意味をあたえる

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ジャック・デジョネット

このブログの最初のタイトルはキースジャレットであり、私はそのあと何度かキースジャレットに言及した気がする。だがそこからジャックデジョネットにつながるのには少し時間がかかった。しかし、時間の問題であった。なぜなら、私が初めて聞いたジャズのアルバムはジャックデジョネットだったからである。
私はそれを、ある人から借りたわけだが、それは私がドラムをやっていたときの講師で、その人にジャズに興味があると話したら、貸してくれたのである。
「しかし、初めてのジャズがECMじゃね」
とその人は愉快そうであった。ECMとは、レーベル名である。しかし私はそのアルバムを決して楽しく聞いたわけではなかった。全部で5曲収録されていて、その頃はJPOPしか聞いたことのない私は、シングルでもないのに随分曲が少ないなと思ったが、2曲聞いたら嫌になった。かろうじて、2曲目のベースラインが心地よかったので、返すときに「ベースがいいですね」と感想を言うと「みんなそう言うんだよね」と、やや不満そうにその人は言った。私は家に帰ってから、私は初めてPCを使ってCD-RにコピーしたのがそのCDで、買ってきたCD-Rはソニーの5枚組のやつで、一枚一枚色が付けられていた。ジャックデジョネットは、赤いCD-Rにコピーをした。私はCDを先生に返してから家に帰り、そしてCD-Rの表紙の部分にベーシストの名前をメモした。
それから何年かして、私は全く音楽をきかなくなった時期があり、そのときにコピーしたCD-Rは全て捨ててしまった。捨てなかったCD-Rもあったが、ジャックデジョネットの赤いCDは捨てた。私は今になって捨てなければ良かったと思った。しかし、もし捨てていなかったとしても、捨てなくて良かった、とは思わないのである。