意味をあたえる

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氷水をかぶるブーム

最近氷水をかぶる動画のニュースをよく目にするので、今日早速隣の席のKさんに
「そろそろKさんのとこにも氷水のご指名きたんですか?」
と言ってみたら「まだだよ」と言われた。

氷水をかぶって寄付するのか、寄付の代わりに氷水をかぶるのか、私はよく読んでないからわからないが、最初は前者なのかと思っていたら、お昼に別の人が、
「なんか氷水かぶりたくなかったら寄付をしろってことらしいですよ」
と言っていたので、みんな寄付はしていないのだろうか? どっちでもいいが。一方「私は氷水をかぶりません」という人もいる。売名だとかなんとか批判しているが、かぶりませんと宣言することもまた、売名であることに変わりはない。賛成派と反対派がぶつかるほど、難病に対する興味は集まるのだろうから、みんなの注目を集めるのは、正しいことでも間違ったことでもなく、どちらだかわからないことなんだろう。

ところで東日本大震災のときに孫正義社長が100億だか1000億だか寄付すると宣言したときに、批判が起きなかったのはなぜだろうか。私からすると、今回のこととそう大差はない気がする。孫正義さんだって売名で寄付したのだ。孫正義さんは有能な商売人であるから、ちゃんと宣伝効果がいくらになるかを計算してから、寄付額を出したに違いない。その証拠に孫正義さんは一番乗りで寄付を名乗り出たが、2番目以降の人は、徐々に金額が下がって行く。それを限界効用とか昔習った気がするが忘れたが、同じことを繰り返せば、徐々に効果は薄れていくのだ。

難病の名前がなんであるかは私はきちんと覚えていないのでここでは書けないが、私は中学の同級生で筋短縮症という病気の女の子がいたことを思い出した。私の中学のときは女子は私の学年では黄緑色のブルマーを履いていて、私はブルマーとは紺や黒しかないものだと思っていたので、黄緑色なんて、とても悪趣味だなあと思った。その黄緑色のブルマーから出た足が、若干麻痺していたのである。
その「筋短縮症」という病名を先生が説明したときに、男子の1人が「金玉縮小」ともじった。こんなシリアスな病名が一瞬で下ネタにまで貶められてしまうことに、私は感心した。対して女の子の方は当然ながら傷ついていた。しかし割と大人っぽい性格だったので、
「茶化さないでよ!」
と大声でわめいたり泣き出したりするわけでもなく、理科の実験のときなどに小声で
「ほんとやめてほしい」
でつぶやいていただけだった。私と彼女は同じ理科の実験班だったのである。彼女が小声で抗議した理由はもうひとつあり、それは「金玉縮小」を言い出した男子がサッカー部所属のクラスの中心的な存在であり、特に笑いに関しては彼は抜群のセンスを発揮していて、どんなジャンルでもそうだが中心的な存在は何を言っても許される部分があり、「金玉縮小」も彼以外が言ったら周りの反応も、もっと違ったものになったのかもしれない、教師も含めて。彼女はそういうクラスの雰囲気を察して、表立った抗議は控えたのである。

私と彼女は同じ実験班だったと書いたが、他にも男子と女子が1人ずついて、男子の方は覚えているが、私は女子の方は全くと言っていいほど覚えていない。しかし、今、当時のみんなの名前を思い出してみると、五十音の並びが割合に近く、どうやら名前の順で班は決められたようである。そうなると、思い出せない女子も名前が突然思い出せるようになり、名前が出てくると顔かたちもなんとなく出てくるのである。理科の実験班は美術の時間の班も同じであり、私はその、最後に思い出した女の絵を書いた気もする。