意味をあたえる

文章としかいいようがない fktack@yahoo.co.jp

幾何学

私は今さっきまで列に並んでいて、私は今日はひとりだったから列に並んでいる人たちもみんな一人ならいいなあと思いながらならんでいたが、私の後ろはカップルで、私が列全員がひとりならいいなあと思ったのは、彼らがいたせいで、彼らがいなければ列の人数など気にしなかった。

彼らはバスで来ていて、関西弁を喋っていた。女の方が男を誘って今日は来ていた。彼らについて説明できるのは、実際書いてみるとこれくらいしかなく、書くまではもっと沢山書ける気がした。彼らは私よりも年下だったが、学生なのか社会人なのかはわからない。つまり、社会人ということである。学生なら学校とかサークルとか勉強の話が必ず出てくるからであり、彼らの話の内容がまるで思い出せないということは、彼らはおそらく別々の仕事の男女だから、共通の話題というものを持たないのだ。男Aが
「腹減った」
と言った。また、腹にたまるものがくいたい、とも言った。女Bは
「飯?」
と言った。そして列が解散となると、彼らはどこかに行ってしまった。再び会えるかはわからない。

ところで列の途中で、列の脇には木が植えられていて、その鉢、というか木を取り囲むフェンスが台形だったことを、私は列に並びながら発見した。そして常々考えているあることを思い出した。

それは会社の帰り道にいつも通りかかるアパートの駐車場のことで、その駐車場は道に向かって勾配がつけられていて、つまり道に比べて建物が高い位置に建てられているのをイメージしてもらえば伝わるだろうか? そしてその斜面上に駐車スペースの白いラインが引かれており、斜面がちょうど四角形の角があたり、角がこちらに向けてびよーんと伸びた形になっている。私はそれをそれを見るたびに、この四角形の内角の和は360度にならないと思い、大変落ち着かない気持ちになった。上空から見て2次元と決めつけてしまえば360度だろうが、私の通りかかる位置からはそうはいかないのである。ユークリッド幾何学の範疇を超えてしまっているのである。

幾何学、と言えば中学のときに、国語教師が夏休みに下ネタで作った川柳を提出した生徒に、これはなんと読むか、と質問したときに、
「いくなにがく」
と答え、それは教師の思惑通りだったようで、教師は満足そうに大声で笑った。その教師はそれから6年くらい経ってから癌で死んだ。