意味をあたえる

文章としかいいようがない fktack@yahoo.co.jp

ほうれんそう

「どれ、たまにはブログらしいことでも書いてみるか」
と私は思い、私のブログには頼んでもいないのにアクセスランキングというものがあり、それを見ると「新人はメモをとるな」というのが1位になっていて、それじゃあこれが1番ブログらしいということだから、その続きを書く。読み直すわけではないから、続きになるかはわからないが。

新人がメモを取ってはいけないことについては、これは私の経験則なのでよく覚えていて、この前一緒に仕事した人もメモ帳を2冊も持っていて、しかも全く同じデザインだから、私は
「まとめ買いしたのかなあ」
と思った。だとしたら、文房具メーカー、あるいは小売店は罪なことをしたことになる。そんなに新人にメモをとらせてはいけないからだ。

厳密に言えばメモをとることがいけないのではなく、メモをとることが何よりの優先事項であり、メモをとっている間は周りは待っていてくれるという勘違いである。教える方はちゃんと聞いて欲しいのに、紙ばかり、あるいはペン先なのか指先なのかは知らないが、下を向いてばかりで、例えば施設のあんないで、
「あっちの……」
みたいな説明の手先を見事に見逃し、なんの話かわからなくなる。わからないのは自業自得なのに、メモを取っているんのに手振りを用いるのは反則だ、と言わんばかりの怪訝な表情を見せてくる。さらに図々しいのになると、
「あ、ちょっと待ってください」
とこちらの喋りを中断しようとしてくる。喋りはリズムが命である。止められたら、もうその先は一切の段取りが狂ってしまったと思って欲しい。

どこで新人はメモを取らなきゃいけないという誤解を植え付けられてしまったのか。仕事なんて、いちいちメモを取らずに、その場で覚えてしまえばいいだけの話である。覚えるのは無理だというのなら、覚えられるところだけでいいし、覚えられたか不安で仕方ないのなら、そのぶん仕事ぶりに真剣味が出る。逆にメモをとるというのは、覚える行為の放棄と言っていい。

ところでこんなことをいつまで書いていても、前回の焼き直しなので、そろそろ次の考えを書くと、次は「先輩、上司は必ず見下すよう心がける」である。

これは少し考えれば当たり前なのだが、会社に何年もいる人は、同じ仕事しかしないから、頭の回路が同じ動きしかせず、したがって使い物にならないということである。これは年齢が上の人の方が顕著だ。よく年寄りは頭がかたい、と言うが、ずっと同じ仕事をしているせいで頭がかたくなるのか、頭がかたいから仕事ができなくなるのか、どちらが先かはわからないが、とにかく言うことを聞くのならせいぜい2、3年の先輩にとどめておいた方がいい。間違っても、朝礼なんかで真顔で
「ほうれんそう!」
などという上司について行ってはいけない。これは報告連絡相談の省略形であるらしいが、こんな意味のないスローガンにすがる、語彙力ゼロの上司とは、極力会話も避けるべきである。

会社につとめてみるとわかるが、働き出すと
「どうしてこんなのがあるんだ?」
という、とても理解に苦しむ事柄に、割と早い段階でぶつかる。先輩に質問をしてみても、曖昧な答えしかかえってこず、さらに踏み込むと怒られる。怒られるから間違っている気がするが、この疑問は実は正しく、それは会社にとっても個人にとってもなんの意味もない、マイナスのものなのである。しかし、ある程度勤めた人には、もうそれは見えなくなってしまう。だから、あなたがもし新人なら、そういう腑に落ちない出来事は無理に解釈せずに、そのまま心にとどめておくべきだし、指導する立場の人なら、新人の言うことには、なるべく耳を傾けるべきだ。なかなかうまくはできないけれど。