意味をあたえる

文章としかいいようがない fktack@yahoo.co.jp

ガスマスク/軽井沢

軽井沢に来た。私たちだ。私たちとは、私と妻と志津とネモちゃんと義母である。軽井沢と言えば私は以前、踏切の中に閉じ込められそうになったことがある。踏切の先がすぐに交差点だったのだ。線路に来たところで前が塞がってしまい、そのうちに青になるだろうと思っていたら、先に警報が鳴り出して私は焦った。

その踏切がどこの踏切だっかは、もうわからないが、駐車場に車をとめ、私たちは歩き出した。いつもと違う駐車場だったので、少し寂しい道を歩いた。解体中の家があった。門のところに建築業の許可の表示がされており、私は最初、その解体中の家は工務店なのかと思ったがそれは勘違いであり、解体業者の標識であった。それから道が3本にわかれ、私はなにせ方角とかには弱いからてんでお手上げであったが、3つのうちふたつは木を挟んですぐに合流し、その先は駐車場であった。軽井沢は、駐車場の多いところである。

それからだんどんと知っている景色になっていて、私は、
「ここの2階には古書店があったよなあ」
というところまで来た。その2階だての建物のトイレは全て有料である。それは複数の店舗がかたまっている建物であり、壁は暖色で、水車が2つあった。
「水車とはなにか?」
とネモちゃんに聞かれた。私は、たしか「フランダースの犬」で水車小屋が火事になったことを思い出した。いや、あれは風車小屋だった。燃えるのである。私はその、燃えるところをテレビ埼玉で見た。再放送だったのだ。
それから服屋の前に来て、その建物の1階は服屋が多いからで、2階は食べ物屋が多いが、それは値段が高い。前に来た服屋はミリタリー系で、それとロック系で、メタリカとエーシーディーシーとニルヴァーナのTシャツがあった。誰も興味がないから素通りしようとしたら、店の奥の壁側にはガスマスクがかけられていた。
「あ、ガスマスクだ」
「ガスマスクだ」
「ガスマスクだ」
「ガスマスクってなに?」
質問をしたのはネモちゃんで、義母はどこに行ってしまったのかはわからない。私は、
「毒ガスがばら撒かれたときに、かぶると平気なやつ」
と答えた。しかしこう答えてから、「平気なやつ」とは人間の方で、別にガスマスクの方は平気でも異常でもないから、答えとしての日本語は間違いであるなあと思った。私はそのことをブログに書いてやろうと思った。

それから坂道を行ったりきたりして、車に乗って、温泉にきたら、それはずっと前にも来たことがあるところで、そこの露天風呂に入ったら、以前何かの本で、私たちは普段仕事とかスマホとか、下を向いてばかりで生活しているから、時には空を見上げ、全宇宙の中で、自分がちっぽけなことを思い知ろう、とあったのを思い出した。確かにその通りで、この文章を読まれている方の中にも、自分が最後に空を思い出したのが、かなり昔のことだと感じる人もおられるだろう。だから、私は空を見上げた。私の視界の半分くらいには木の葉がかかっていて、その向こうに空と雲があった。私はもしかしたら雲のでこぼこと、葉の輪郭のでこぼこは、何かしらの関連性があるのかと思い観察したが、よくわからなかった。それでやがて頭を下げたら、お風呂の中で一生懸命ストレッチをしている人がいて、その人は二の腕にタトゥーがあり、顔にシワがあったがお腹には全く無駄な肉がついていなくて、鍛えられていた。



★おまけクイズ

Q.クレオパトラの飼っている犬って、なあんだ?

A.パトラッシュ(パトラ、の部分が、同じだよ)