労働、と書いたから賃金は発生するが、なんか書きながら奉仕活動でもいい気がしてきた。休業補償を国から会社に払えばいいのだ。
と、書けば書くほど、穴がぼこぼこ空くようなただの空想だが、要するに私は今の仕事に飽きたから、こんな空想をしたのであって、国を良くしたいとか、そういう出発点ではなかった。
また、昨晩はこんな夢を見た。久しぶりに見た夢だったが、私は以前勤めていた会社に、また来ていたのだが、そこで社長がひとりひとりに仕事を割り振っていて、私は「体」という漢字を鉛筆でなぞる仕事を言いつかった。だから机に向かって体という字を書いていたら、隣の席のコイズミさんが、ちょうど電話を終え、なんだか手持ち無沙汰に見えたので、私の紙を何枚か渡したら社長が、
「それはコイズミくんの仕事じゃないから」
と私に注意をした。ちなみに社長にしろコイズミさんにしろ、私よりも歳下である。私はこの会社が嫌で嫌で辞めたのだが、このときはあまり嫌ではなかった。考えてみると、会社の誰かが嫌で辞めたわけではなかったから。嫌になりかけているやつはいたが。
それからベランダに出て、なぜベランダに出たのかは忘れたが、何かを干そうとしたのかもしれない。すると物干し竿にはびっしりとクモの巣が巻きついていて、私はほうきで取ろうと思ったが、ほうきはなかったのでちりとりを使って取ろうと思い、ちりとりは学校にあるような金属製のもので、私はその角を使えば上手く取れるような気がした。すると不意に、私が今勤めている会社のことを思い出し、当然その会社を辞めて以前の会社に戻ったので、私は今の会社の人を思い出して悲しくなった。また、よく辞められたなあとも思った。やがて夢は終わった。
昨日は休みだったから、ネモちゃんを迎えに行き、家に帰ってからすぐに宿題をやらせたら、気が散ると言われたので、私は2階に行って、本でも読もうかと思い、読み始めた。すると、少ししてからネモちゃんが泣きながら上がって来て、一緒に下に行くと、鉛筆の芯がぽきぽき折れてしまうと言って泣いていて、確かに長さ5ミリくらいのぶっとい芯が、いくつもテーブルの隅にあった。それは、濃さが6Bの鉛筆だった。私は、6Bはやわらかいんだよ、と言って鉛筆を削ってやった。そして、
「折れてても、気づかないふりをすれば案外書ける」
とアドバイスをした。鉛筆削りは筆箱に備え付けられているちゃちいもので、私は自分の子供のころは小学校の入学祝いに鉛筆削りを買ってもらって、学生時代はそれ1台で通したから、特別頑丈なものではなかったから、買ってやってもいい気がするが、ネモちゃんは、ちゃちいので十分だと言う。それはとても小さいからすぐに削りかすがいっぱいになってしまい、そんなのを触った手で鼻水をぬぐったから、ネモちゃんの顔はひげでも生えたようになってしまったから、私は笑った。
そんなことがあったから、夢に鉛筆が出てきたのかもしれない。