意味をあたえる

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ドラえもんに出た兄妹

少し前のえこさんの記事で、「ドラえもんになりたかった」という旨の記事があった。私は、コメントに、
「私は「私」として、ドラえもんに出たかったです」
と記した。「私」とは、私(飯村)である。そうしたら、えこさんが、Twitterで返事をくださり、そこには
「出てそうな感じはする」
とあり、私は
「えっ」
と思った。私は普段はあまり自分に興味を抱かないよう心がけているが、このときばかりは、
「俺、ドラえもんにいても不思議じゃないのか」
と少し興奮した。

私は小学生のときに、「もし私がドラえもんに出れば、もっと話はスムーズに進むのになあ」と妄想したりした。「ドラえもん」に出る私は、出来杉くん並みの頭脳を持ち、腕っぷしもそれなりなのでジャイアンからも一目置かれる。だからといってのび太を見下すわけではなく、優しく接する。ときにはドラえもんや学校の先生にも意見を言って唸らせ、スネ夫に対してお金の虚しさを説く。そんなキャラに憧れたのである。実際に話を考えたりしたが、もうそれは忘れた。恥ずかしくて忘れたふりをしているわけではない。唯一おぼえているのは、私たちはいつもとは違う空き地にいて、そこは低地で、空き地の終わりにはコンクリートの段があって、その上に住宅が建てられている。そこへ向かって左には川が流れていた。

私は「私」として出ていたので、視点も私であり、つまりアニメ化された私を見ることはできない。ジャイアンスネ夫はいつも通りで、いや、いつも通りでなく、私に親しげに話しかけてくる。出来杉が、わからないことを私に訊いてくる。私は彼らにのび太をいじめることをやめるよう説得する。
「確かにそうだ」
と彼らは納得する。ひょっとしたら、そんな夢を見たのではないか。

夢と言えば、昔妹が寝言で、
「ねぇ? ドラえもん
と言ったらしい。それが、あまりに可愛かったと、母も少女漫画のような顔をして、私に教えてくれた。そこに妹本人がいたかはおぼえていない。「ねぇ?」と言ったのだから、何らかの同意を求めていたのだろうか。それとも、女らしく何かドラえもんと秘め事をしたのかもしれない。

私たちは、誰でも一度は、ドラえもんと共演を果たしているのかもしれない。

えこさんの記事はこちらです。

ドラえもんへの憧れ - バンビのあくび