意味をあたえる

文章としかいいようがない fktack@yahoo.co.jp

おふくろの味

昨日の記事を書いたら、キューカさんに、

http://b.hatena.ne.jp/entry/259991996/comment/Qka
http://b.hatena.ne.jp/entry/259991996/comment/Qka

と、コメントをいただき、私は昨日なんせ沢山の距離を車で運転していて、そうでなくても普段から誤読がひどくて最後の「あり得」のあとを「ません」と三回くらい読んだ。「すき焼きの中に大量の砂糖を入れるなんてあり得ない」というのは、記事本文でも書いたつもりだったので、私は首を傾げながら自分の記事を読み返し、確かにわかりづらい書き方をしてしまった、と一ミリくらい反省はしたが、わかりづらいのが私のブログの魅力なので、むしろ「よく書けたなあ」とのんきに自画自賛してしまった。

そうして四度目くらいに読んだら、「あり得ます」だったので、
「えっ」
と思った。つまり、関西のすき焼きは家庭によってはじゃじゃん砂糖を入れて、甘い肉を食べている、ということが、その後軽くぐぐってわかった。麦茶のようなものだ。私は子供の頃に、裏の子供の家に遊びに行って、麦茶を振る舞ってもらったことがあるが、瓶こそ自分の家にもあるような円筒形のガラスの瓶に花の模様があしらったものだったが、口にすると甘く、私は思わず吐き戻しそうになったことがある。しかし、私はいくら子供と言えど、大人っぽいぶぶんもあったから、
(この家では、麦茶にも砂糖を入れないと子供など飲まない。麦茶もジュースのような位置付けなのだろう)
と悟った。私の家では、糖分の過剰接種を控えるため、夏には
「サイダーは1日一本、それ以外は麦茶」
と決められていたので、その子の家の場合、私の家の麦茶にあたるのはなんだったんだろう、とか考えた。水? それよりも、きっとそういう糖分の制限など考えないだらしない親なのかもしれない。しかしその家の子供は痩せっぽっちだったので、そういう決まり事はナンセンスなのかもしれない。

それで、なんの脈絡もなく突然おふくろの味の話にうつるが、そうだ思い出した、すき焼きの東西の作り方を見ていたら、私の家は割り下などつくらずに、関西のように砂糖や酒を鍋に直接放り込んでいた。いなり寿司も私が指摘するまでは中身は五目ごはんで、あとお好み焼きは広島風で、オムレツは野菜炒めを玉子でくるんでいたものだった。玉子焼きは甘い。私の母は東京、父は埼玉出身なので、今考えると変な感じだなあと思った。

それで私が結婚して家をでるときに、母に「何を食べたいか」と訊かれたので、私は芋サラダときんぴらゴボウを所望した。芋サラダは、総菜のポテトサラダほど芋がペースト状にはなっていなくて、ほくほくしている。きんぴらは水っぽくなくて味付けは辛い。私は家を出ても、割合近くに住んでいるので、母の料理は今でも頻繁に口にするが、子供たちは肉ばかり欲しがるので、私はきんぴらなど、正月くらいしか口にしない。


※小説「余生」第36話を公開しました。
余生(36) - 意味を喪う