さっき見た夢の話だが、関口宏の日曜の朝の番組あるじゃないですか。それの野球で「喝」とか「あっぱれ」とかいうコーナーあるじゃないですか、野球界の大御所的な人があれこれ言うコーナーで。それのラストの方で関口宏が、
「海外ではこんなことがありました」
と言って、メジャーリーグの珍事件が紹介されるミニコーナーがあって、それはコーナー内コーナーであり、芝生の米国の球場が映し出される。デイゲームである。アメリカには夜などないと主張したいかような強い日差しが地面や選手に降り注ぐ。
「はい、ここでピッチャーが投げます」
間の抜けた関口の説明。現地の音声は極限まで下げられていて、テンションの低い彼の声でも容易にお茶の間に届くのである。
「はい、デッドボール、ここでなんと!」
ピッチャーの投げた球は打者の左腕に当たった。右バッターだったので、左腕が前にきていた。腕には金色の腕毛が生えている。白人である。赤いヘルメットだ。ガムを噛んでいる。それと暴走族みたいなサングラスをかけている。腕に当たった打球は、ふらふらと三塁方向へ上がった。当たった球だから当球か。それをショートの選手がダッシュして、ノーバンでグラブにおさめた。
「なんと、これを捕ってしまいました」
私は知らなかったのだが、デッドボールの球をアウトにしてしまうのは、大変礼儀を欠いた、非紳士的行為らしい。そう関口が教えてくれた。夢だから現実は知らない。唖然とする両軍ベンチ。協議の末、試合はノーカウントとなった。
ところが、このVを見終わったあと、張本は「喝」とも「あっぱれ」とも言わずに口をつぐみ腕を組んだままであった。私は、張本も過去に同じことをやらかしたことがあるのでは? と思った。以上が夢で、私は夢を見た直後にこれを書き出したが、外は雨が降っていてまた眠くなったので二度寝した。ラジオ体操は中止である。寒すぎるのである。子供はなにもかけずに寝て、妻は子供の布団をかけて寝ている。ハンバーガーみたいに上下左右から肉がはみ出ている。私はタオルケットをかけていたが寒すぎるので毛布を取り出した。毛布はまだ洗ってないのに、と妻に怒られそうだから、起きたらそっこーで元に戻すことにする。私は絶対に妻より早く起きる自信があるから、バレないと思っていた。実際にバレなかった。
野球と言えば、昔読んだ「燃えるお兄さん」とギャグマンガで、女子がバッターだったが、一塁牽制球を、フルスイングする描写があり、周りの空気がかたまる。アンパイヤーは何コマか悩んだ末、
「チェンジ」
を宣言する。ストライクもアウトもすっ飛ばしてチェンジしてしまうのがこのシーンの笑いどころである。確かまだノーアウトかワンナウトだった。
夢については時間が経ったので、少しフェイクも含む。
※小説「余生」第63話を公開しました。
余生(63) - 意味を喪う