昨日、今度の休みに子供たちがジャニーズのコンサートに行くと言うので、その中には彼女たちの母親と叔母も含まれている。叔母とは私の義妹である。それで、ジャニーズのコンサートにはうちわが付き物だというので、それをこしらえることになった。私は興味がないからノータッチで、知らない間に行く人たちは100円ショップで材料を揃えてきて、あとは型紙は、義妹が
「ワードとエクセルでつくる」
と言ってきて、それは昨日よりも何日か前のことで、そのときは義妹は夫と0歳の子供と、あとさらにワンチャンも連れてきていて、賑やかだった。ところで私のパソコンは春に買ったばかりですでに一度修理には出していて、全く愛着とかない。シールとか貼ればいいのだろうか。そういえば、先月の終わりにシキミの誕生日があって、シキミをその前にツタヤに連れて行ったらプロペラのおもちゃがあって、それが誕生日に欲しいと言われ、買ってあげたら
「なんで勝手に買うんだ」
と妻に怒られた。もしこの文章を妻が読んだら「怒ってない」と怒るから、妻は怒ってはいない。しかし、誕生日なのに、私たちは険悪になってしまった。そのプロペラの玩具の根元がボールみたいに、赤カブみたいになっていて、そこにシールを貼りましょうみたいな、シールが付属していて、色んなバリエーションの表情とか、あとサッカーボールの模様なんかがあった。しかし、貼る先はひとつだから猛烈に余ってしまい、しかしこういうのって、なかなか捨てられない。だから、私の5月に買ったパソコンに貼ったらいいんじゃないか、と今思った。私が貼るならば、目とか口とか模様よりも、それを取り囲む余ったなんの絵もない枠のぶぶんのシール、あるいはちょっと絵柄がはみ出たぶぶんのシールを貼ったら私らしい。私はそういえば子供のころはシールが大好きで、大好きというか、子供がシールを手に入れる機会というのは意外と多く、例えばNHKなんかも、集金のたびにくれた。そのときは私の両親もNHKの料金は払っていたようだ。で、そのもらったじゃじゃ丸だののシールを、私はいつも電子レンジの下の棚の側面に貼っていて、なぜそこに貼るのかというと、「そこに貼っていいですよ」と言われたからだ。だけれど、「貼っていいですよ」と言われたことは、すぐに忘れてしまい、だのになんでそこに続けて貼り続けることができたのかというと、2回目以降は貼られたシール自体が、貼ってもよいことの証明、あるいは私に許可を出していたからである。そこに私はじゃじゃ丸やピッコロやポロリ、あと花数本のシールを貼り、最後に“枠“を貼った。枠というのは、シールからしたら陰のような存在だ。主役が消え、そこから存在全部がはがされたのかと思いきや、形だけは残り、あるいはのっぺらぼうのようになって、私の想像力をかき立てる。私は、枠の形が崩れないよう、慎重に棚の側面に貼って、いつでもその主が戻ってこれるよう施した。しかしたまにはくしゃくしゃにして捨ててしまうことがあった。
私は本音を言えばシールは好きではなく、だからビックリマンシールも5枚くらいしか持ってなく(付き合いで買った)カードダスもなにかの付録のやつしか持っていない。だから前の記事でも書いたが、私が小学生の時、何歳か上の人がビックリマンのキラが出て舞い上がって小躍りしたら自動車にはねられた、という事故があったが、そのときはまだ私も低学年とかだから、
「上級生になればそういうこともあるのだろう」
と覚悟をしたが、その歳を過ぎてみると、どう考えてもアホだ。でもそれば私がビックリマンというか、二次元に興味を持てなかったからで、代わりにガンプラ、特にBB戦士という、接着剤を使わない子供向けのやつにはものすごくのめり込んだ。BB戦士以外にも似たシリーズのガンダムはあったが、私が圧倒的にBB戦士にハマった理由は、兜が取れたりするぶぶんで、そういうことによって日常が構築できる。私は収集よりも、ままごとのほうが楽しかったのである。ガンダムというのは戦うための存在だが、ときには飯を食ったり寝たりもするし、そういうときに武器や鎧を着ているのはおかしいし、そういうのは重いから疲れるだろう。だから、それが取り外しできるギミックがあったりすると私は喜んだ。二次元には日常を構築しようがない。あるいは、与えられた日常を受け入れるしかない。
だから、私はとうぜん子供たちのうちわ作りには興味を持てず、代わりに義妹が張り切って私のノートパソコンを操作したが、ワード、エクセルが入っていないからできないと言う。そう言ってナミミが私のノートパソコンを抱えて部屋まで置いて出て行った。義妹はパソコンと言えば、ワードエクセルが標準装備されていると思っているらしい。だから私は数日前に彼女の夫や息子や犬がいる前で、
「ぼくのパソコンにはワードとエクセルは入ってませんよ」
と言ったが、理解できなかったのだ。私がちらし寿司を食べながらしゃべったから、何かちらしの具が入っていないと、文句を言っているととったのかもしれない。彼らの犬は室内犬でその辺をわんわん言いながら駆け回っていて、私たちはちらし寿司をとられないよう注意しなければならなかった。
私は基本的に
「パソコンは任せてください」
というタイプには一切を任せ、私自身は大人しくしているタイプだが、心の中では
「俺の方ができるよ」
と思ったりしている。だから今回も黙っていたが、いきなり匙を投げられ、私もさすがに子供が気の毒で、しかもよく考えたら自分の子だし、仕方ないから
「ジャニーズ うちわ 型紙」
とか調べたらわんさか出てきたから、それを印刷してあげた。