私はこちらの短歌の企画に参加させてもらっています。
前回までは「短歌にちょうせん」というタイトルでしたが、春頃から参加させていただきもう「ちょうせん」という言葉が私の行為にそぐわない気がしてきて、今回からは「短歌の自由」とさせていただきます。つまりもう挑戦はせずに自由にやるのです。「自由」とは言葉じたいには保守的な響きを持っているようです。タイトルは保坂和志の「小説の自由」から取りました。私が保坂和志のファンだからです。私は普段は小説ばかり熱心に読むので、どうしても小説の延長上に短歌を置きたいという欲求があるが、いつかそれはひっくり返るのかもしれない。
1. シチュー
朝顔の観察日記No.4シチューで串刺し蔓もくちはて
2. 声
エンドレス発声練習伴奏は足(あし)ピアノ。和音もきれいに。
3. 羽
羽柴君、外堀埋められさあ大変、家康出てきて「こんにちは、坊っ──」
4. 信
小林の母の信子が土砂降りの中小林を迎えにきた。
5. カニ歩き
カニ歩き、山手線では内回りドアに挟まれ上野でもげた。
6. 蘭
蘭ねーちゃん足にかかったLANケーブル引っこ抜いたら毛利の意識が
7. とり肌
とり肌を「取り寄せ肌」と勘違い、お湯で戻して直に貼るだけ。
8. 霜
初霜の日に物干しがうっかけた。洗濯物は自転車に干す。
9. 末
未年、上が短く末じゃない。来年は申年、甲じゃない。
10.【枕詞】ひさかたの