意味をあたえる

文章としかいいようがない fktack@yahoo.co.jp

フィクションはがし

私は仕事場に水筒を持って行っていて、それは500mlが入るか入らないかのサイズだ。褪せたピンク色のデザインで煙突のように細長い。私はそこに毎朝お茶を注ぐ。お茶は冷蔵庫に入っているときもあれば、卓袱台に出しっぱなしのときもあった。私は冷えててもそうでなくてもかまわなかった。冷蔵庫はつい先週新調したものだった。氷ができなくなって、私の妻の家族は冬でも構わず氷をがりがり食う人たちなので、困ってしまい、近藤電気に相談して新しい物を持ってきてもらった。冷蔵庫は台所の窓からは入らないので玄関から入れた。私は仕事だったので、その様子は見なかった。

1.5lのペッボトルの緑茶は残りが少なく、半分ほど移し替えたところでなくなってしまった。この状態で持って行けば、昼過ぎにはなくなって自腹で買う羽目になるので、私は新しいお茶を箱から出した。するとそれは十六茶だったので、
「これでは十七茶になってしまうな......」
と思いながらじょぼじょぼついだ。


しかしそれは嘘で、私は実際は箱の中身が十六茶だったので、そこで妻を呼んで
「これでは十七茶になってしまう」
と文句を言ったら、
「それじゃあこうすればいい」
と言い、妻は水筒から直に緑茶をごくごく飲み始めた。十六ではなく一の方をどうにかするほうが、確かに効率的だ。私の文句の言い方がまずかったのだろうか。空になった水筒を受け取り、私はできれば一度すすぎたかったが、こじれそうなのでそのまま十六茶をじょぼじょぼと注いだ。妻の胃の中はたっぷんたっぷんだろう。

さらに先週に新調したのは冷蔵庫ではなく洗濯機だった。新しい洗濯機は蓋に傾斜がつけられており、まるで
「そこに着替えを置くなよ」
と牽制しているようだった。私は子供の頃から、パジャマは洗濯機の上に置くものと決めていたので困った。