意味をあたえる

文章としかいいようがない fktack@yahoo.co.jp

しびん

Eテレの「0655」という朝の番組で今、「よんきびう隊」と「びんようき隊」のどちらか、という投票を受け付けていて、知らない人からするとなんのこっちゃ、という感じだが、文字に注目するとこれらは「金曜日」のアナグラムで、金曜日に登場する隊なのです。金曜日に登場して何をするのかと言えば、
「もうすぐ休みだ、がんばれ」
という励ましなのだが、私は土曜も仕事だから少々むっとする。しかし、子供や妻は休みなので、子供に合わせて早起きする必要もないので、やはり「がんばれ」と言われる対象になりうる。

私は上記の投票受付について、最初はあまり乗り気ではなかったがら子供の手前、いちおう
「お」
などと乗り気な風を見せ、投票しないまでも、自分がどちらに好意を抱いているか、態度をはっきりすべきだというジェスチャーをした。例の私の過剰なサービス精神がそうさせた。子供は終始無言である。

私ははっきり言えば投票する気などなかったが、月曜から毎日のように「受付中~」などと表示されるので、今朝ついに投票してしまった。しかし少しは親の役割を果たそうと思い、選ぶ権利は子に譲渡しようと思い、訊ねると
「よんきびう隊」
というのでよんきびう隊にした。すると、投票ページには面倒なことに、コメント欄とざっくりとした個人情報の欄があり、個人情報は「在住県名」などざっくりしたものだから問題ないが、コメントがあったので、子供に
「コメントは?」
と訊いたら
「なし」
と言われた。
「理由とか」
と言葉を変えても
「なし」
の一点張りだった。仕方がないので私が
「カブトムシの頭がしびんに似ているので」
と書いて投票した。

以前の記事にも書いたかもしれないが、高校時代の同級生に「しびん」というあだ名の人がいた。サッカー部で、ポジションはスイーパーだった。しびんは私と名字の五十音が近かったので、進級したてのデフォルトの席順では席が近かった。ある日英語の時間に私がしびんとおしゃべりをしていると、女の教師に注意された。その教師はブロッコリーのような髪型をしていた。英語の教育では度々外国人の教師を招くが、あるときブロッコリーは、
「恥ずかしいけれど、私が彼女(外国人のこと)に最初に教えた日本語は「助けて」でした。日本は夜道などは、大変治安が悪いからです」
と、どことなく治安の悪さの責任の一端が、私たちにあるような素振りで話した。それとブロッコリーは私たちが三年になると、それは日本が初めてサッカーワールドカップに出場した年だったが、
「岡野もあれだけ外しながらも、最後は決めてヒーローになれるのだから、あなたがたにもやれるはず」
と、卒業後の進路についてアドバイスした。割とトンチンカンな教師であった。