義妹夫婦の家は畑の中に建っていて、一番奥に夫の両親の家があった。そのため、両親が出かけるときなどは必ず新居の家の前を通ることとなるので、無意識のうちに家にいるのかどうかをチェックしていた。家にいれば声をかけることもあった。私は義妹の義父がどんな仕事をしているのか知らなかったが、新築祝いの際に
「ずいぶん手広くやられているようで」
とおだてると彼はまんざらでもない様子だった。ガタいの良い、私が名付け親なら
「なんとか太郎」
その家にやがて犬が来て、子供が生まれ、妻は犬と子供に会いに行ったので、私はのんびり音楽でも聞きながらブログを更新していたら、予想よりも早く妻が帰ってきたからがっかりした。彼女はその日はPTAの役員決めだから、予定よりも早く帰ってきた。家を出るときはそのことを忘れていたから、妻自身、そんなに早く帰るとは思っていなかった。妻は自分の子供を置いて、私の地区の公民館に出かけた。その公民館は東日本大震災よりも後に建てられたので、まだきれいだった。
妻は一時間ほどで帰れると思ったが、新役員を決めるのに揉め、結局三時間以上かかった。それは現役員が新役員の決め方に新ルールを導入しようと提案したためで、新ルールは長い目で見れば誰も損はしないものだったが、直近ではちょっぴり残念な人もいて、残念グループの人にヤンキー崩れみたいな主婦がいたので、大いに揉めた。結局役員の提案は却下されたので、くたびれ儲けだった。
私も数年前に地区の役員をやったが、同期の人に張り切り屋さんがいて、無駄なルールなどをいくつか撤廃したが、そういう人は主張が強いからやはり一部の人からはすごく嫌われた。しかし根回しがすごくうまく、例えば酒の席などで有力者にそれとなく話をしたりしたので、提案が却下されることはほとんどなかった。妻のPTAの人はそういう前準備をしなかったから、周りの人の気持ちを動かせなかったのではないか。一方の私の同期の張り切り屋さんは自分でも行動力のある人だったので、私も面倒な仕事はほとんどその人に任せた。そうなると、いざその人が提案したときには私の方もうまく通るように働きかけたりするのである。というかこの人の思い通りになったほうが、自分はますます楽ができるだろうという打算が働くのである。
これをひっくり返して考えると、組織の中で自分の欲望を満たしたいと思ったら、周りには自分がいかに貧乏くじを引いているかを見せることが大事である。私もアピールがうまくいっているのか、部署内では私が苦労していると思っている人も何人かいて、おかげで私も効率よく仕事をサボれるようになってきた。アピール、というのが重要で、実際に苦労をしていたらしんどいだけである。しかしまるっきり演技では見抜かれてしまう。コツは他の人が苦手で自分が得意なことを見つけ、それを大変そうに行うことである。