意味をあたえる

文章としかいいようがない fktack@yahoo.co.jp

暑さでおかしくなる。

会社でテレビ会議というのがあって、私も最近やるようになったのだが、いつも午後いちばんにやることが多く、昼がつぶれてしまう。ちょっと接続に不慣れなところがあって、しかしいざとなれば椅子寝している元・上司を叩き起こせばいいやと私は考えているが、しかし30分前に接続テストを行うのは、うっかり15分前とかだと、ほかの人のテストと鉢合わせなんかしたら気まずいからだ。私は本番は3分前とか入室しそれはギリであり、それでもその3分は気まずい。座長は権力者だから、30秒くらい遅れてやってくる。権力者と言っても私よりも年は下だ。悪い人ではないし、この前会ったら私よりも白髪が多くでちょっとかわいそうになってしまった。私の弟と同い年だ。私は弟とは正月以来会っていないが、その前はその前の正月に会った。まだ白髪なんか一本もない、という顔つきをしている。それでは弟の勤める会社の社長はどうだろうか。例えばスキンヘッドだったら愉快だ。弟の会社は、弟と社長と奥さんしかおらず、あとは全員職人だ。しかし最近後輩が入って、その人は博多の人らしい。博多の口まねを弟はした。私は笑った。それほど酔っていなかった。その前の年は熱燗を飲みすぎ、ついつい弟を理詰めにしたら、
「前の会社の元・上司みたいだ」
と言われた。弟は私と正反対の性格で、熱い性格をしている。ONE PIECEみたいな性格だ。対して私はHUNTER×HUNTERのような性格なのだ。しかし弟もHUNTER×HUNTERが好きで、会って話をすると一度は、
「冨樫が」
とどちらかが言う。両方言うときもある。ONE PIECEHUNTER×HUNTERも、実際は仲良しなのだった。

会議中はとても暑かったから、マイクをオンにし、
「すみません、ちょっと席外します」
と座長に言い、会議室の窓を開けた。窓の前にブラインドがあって、私はブラインドをさわるのは少なくとも五年ぶりで、しかもそのときのは壊れていたから、開けられる自信がなかったが、あっさり開いた。ブラインドは閉めるほうが難しい機器なのである。それで、私は窓を開けた。雲が多かったが晴れていた。窓の外にはフェンスがあって、しかしいくらかフェンスは離れていて、建物とフェンスの間は社員用の通路を兼ねていた。私はその通路を、外回りの営業が帰ってくる気が無性にし、無性にするほうに向かって
「おーい」
と言ってみた。なんの反応もなかったので、もう一度
「O-委」
と言ってみた。やがて雨がふるのだろう。