意味をあたえる

文章としかいいようがない fktack@yahoo.co.jp

過去が鬱陶しい

「キングダム」という漫画を読んでいるが、戦闘シーンは読んでいて楽しいし、オイラなんかでも熱くなるときもある。しかし、戦闘が佳境を迎えると、突如場面が過去に変わり、敵や味方のバックボーンの紹介に切り替わると、とたんに読むのがかったるくなってしまう。バックボーンとは、例えばその人の強さの秘訣だとか、どんな悲惨な目に遭って今ここに立っている、とか。だいたい敵の場合だとそれが倒される合図だったりする。オイラは、
「そろそろ倒され時かー」
みたいな気持ちになってしまうのがイヤなのである。つまり過去とは相対化されたもの、ワンパターンなものなのである。エンターテイメントはワンパターンで何が悪いか、という感じなのかもしれないが、オイラはこのバランスの良さが許せない。バランスの良さ、とはどんな人にも過去がある、的な良さである。敵の大将で、それなりに主人公サイドを苦しめたのだから、労ってあげよう、みたいな作者の感情が透けてしまうと、萎える。

オイラが好きなのは、敵大将の片腕的な人が、あと少しで大将にたどり着く直前でいきなり現れ、
「貴様ら、調子に乗るものもそこまでだ。すぐに葬ってくれるわ」
みたいなことを言い、余裕で勝てそうな風なのに、主人公やその仲間にあっさり殺されてしまうような場面である。あれ? みたいな感じが心地よい。