意味をあたえる

文章としかいいようがない fktack@yahoo.co.jp

光る人骨

昨日のえこさんの記事で光る骨について触れられている箇所があり、それは人骨ではなく、恐竜の骨だった。私も同じように光る骨のTシャツを持っていたからその旨をコメントし、最後に
「人骨です」
と付け加えた。それはややもすれば体全体でひとつの人骨を現していそうだが、腕の裾のぶぶんに小さな人骨が複数並べられているものであった。長袖である。それは温めると色が変わるもので、よくよく思い出してみると光る物ではなかった。温めるといってもちょっと手で押さえるくらいではダメだから、私は長時間腕を握る必要があった。あるいは、はー、と息をかけたりした。はー、が温かくて、ふー、が冷たいのはなんでだろう。春と冬がそういう季節だからだろうか。それでもなかなか色は変わらなかった。しかし私はあまりそのことを気にかけたりはしなかった。何故ならそれは服なので、私の身体を飾ればそれで良かったからである。たまに、話の種に、
「ほら、この服、こんな風にすると光るんだよ」
なんてやったりしたが、そういうのってなんだか年寄りくさい。子供のころ、祖母の話に「へー」とか適当に相づちを打った、そういうのに似ている。

だから骨は光らないんだってば!

人骨といえば、村上春樹の「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」という小説を思い出した。あの中にレプリカの一角獣の頭骨が出てきて、主人公が棒で叩くシーンがある。あの小説には他に少し太めの女が出てくる。あの小説は、二つの話が交互にやってきて偶数章は話A、奇数章は話Bという具合だったが、話Aが退屈だったので私は二回目以降は、奇数章ばかり読むようになった。あと印象に残っているのは、ヤクザに部屋をメチャクチャにされた主人公が、
「そんなのってないぜ!」
と抗議する場面で、なんか必死に自分のキャラを守っているようなセリフ回しに、私は微笑ましさを覚えた。