意味をあたえる

文章としかいいようがない fktack@yahoo.co.jp

白い物体

白い物体が空を真横に飛んでいき、よく見るとそれは鳥であった。鳥だとすぐに判別できなかったのは、真横に飛ぶからで鳥とはもっとジグザグに飛ぶものだ。私の住んでいる地域ではグライダーに乗って上空高くまでいく人もいるから、その類かとも思った。しかしそれにしては低すぎた。あの、普通の電柱とは違う電線の親玉みたいなの、もっと正確に言うと地域統括みたいな立場の背の高い鉄塔同士が、ぶっとい電線を垂らしながらつながっている箇所が田んぼなどにはあるが、あれが私の視界の前に広がっていて、ちょうど五線譜のようであった。鳥は高いドを一直線に進み、それからヘ音記号だとか低いラだとか、とにかく急降下した。餌でも見つけたのだろう。私は前述の鉄塔の親玉みたいなのが正式になんというのか、過去には教えてもらったこともある気がするが、今はわからないから、調べてみようと思ったが調べずに書くのも一興な気がして結局今もそのままだ。

よく人の一生がひっくり返ったら、ということを考える。つまり私たちがお爺さんお婆さんでスタートして、知識はどんどん失い、体力はどうだろう? 一時的なピークに向かってどんどん早く走れるようになって胃ガンも治る。しかし後の二十年くらいはどんどん体が小さくなって語彙も絶望的だ。極めつけは学校に通って、ほとんどまっさらになる。あとは犬が野に放されるようになって好き勝手し放題、しかし周りからはちやほやされながら死ぬのだ。そんな世界がどこかにはあるはずで、考えるほど気がおかしくなるが、それが当たり前だと思えばどうということもない。