上記のAさんの記事を読んでいて「エトセトラ」という文字で目が止まり、最初どこかしらをいじったパロディの言葉ではないかと疑った。それからエトセトラという語感が「ケセラセラ」に似ていると思った。「ケセラセラ」という昔からの歌があって、私がいちばんに聞いたのは石井竜也のアルバムに入っていたカバーだった。それは日曜の夜にやっているニュース番組のエンディングテーマだった。司会は福留功男だった。福留さんは私が小学から中学くらいのときのズームイン朝の司会であり、カメラの回っていないところでは怖いという噂だった。高校時代、友達がマイスタ前に夏休みに遊びに行ったことがあり、ズームイン朝とはたまに、福留がしゃべっている後ろで通行人が手を振っていることがあり、友達はそれを見事にやってのけた。しかし実はそれはやってはいけない行為であり、見学者は駐車場みたいなところに待機させられ、スタッフに
「絶対に動くな」
と厳重に見張られる。その監視をかいくぐって友達は福留のうしろに回り込んだわけだが、すぐにスタッフに連れ戻され、次にやったら最後出さないからな、ときつく叱られた。最後というのは、エンディングで遊びに来た人がわーって画面に出ることを言い、それぞれがメッセージをフリップに書き、運がいいと福留が話しかけてくれる。ズームイン朝のエンディングは朝の8時半で、その時間はもう学校へ行ってるから私からしたらそんなものに出るより、福留がジャイアンツにおべっか言ってる後ろに映り込むほうが何倍も価値があった。友達もそう思っていた。友達は、
「福留もCM中はスタッフにお茶を持ってこさせたりして怖かったが、スタッフもかなり怖かった」
と私に教えてくれた。私はそのときも今も、友達は私の夢を壊さないためにわざと
「福留は怖い」
と言ってくれた気がする。私は夏休みになる前友達に
「ズームイン、一緒に行かない?」
と誘われたが、
「朝起きるの面倒だからいい」
と断った。実際友達が映った朝も私は寝ていて、後から録画したものを確認したのだった。あのとき誘いに乗っていれば、と思わないこともない。私ひとりならスタッフの気迫に押され、とても福留の後ろに回り込むことなんかできなかったが複数ならいくらか大胆にもなれる。実際そんなことできるわけないと思ったから断ったぶぶんもあった。私は過去においてとても愚かなことをしたような書き方をしたが、別の誘いに乗って本当に愚かな結果になったこともあるから、これは確率とか運の問題である。
話をエトセトラに戻すとそのあと「エトセトラって、エとセとラだな」と不意に気づき、クラリネット壊しちゃったの歌に合わせて口ずさんだりして、
「ラはともかく、エ、セ、の音ってなんだろう」
と考えた。しかしエトセトラの音が出ないというのは、一本気の通った楽器ではないか!