外へ出かけたら、最近の気候にはめずらしく日差しが強かったから、日焼け止めを買い求めようと思った。家を出るときに日焼け止め必要だと思っていたが、前に買ったのをどこに置いたか見当がつかなかった。前は地区の役員になって年中芝生の上で縄を引き合う男女に声をかけたりしたから、日焼け止めは必須だった。私は役員だからうかつに日陰に入るわけにはいかなかった。私は他の役員にくらべて運動が得意でなければ、リーダーシップもないので、こういうところでアピールしなければならなかった。
そういえば会社員が出世するためには上司に気に入られなければならないというのを読んだが、これはサラリーマンのステレオタイプというものではないかと思った。オタクとかインドア趣味の人たちがさんざん周囲のレッテル貼りに苦しめられてきたのに、これではお互い様ではないか。媚びるという言葉はイメージが悪いが、誰もが誰かに媚びているのが社会であり集団である。確かに自分に与えられた仕事をこなし、決められた給料をもらいそれ以上はしないというのは私も理想だと思っているし、私はそういう風にしてきた。しかしやはり困っている人がいれば助けてしまうし、できることなら誰にだって良い顔をしたいと思ってしまう。私はそういうときに自己嫌悪を感じるが、しかしあまりにクールに「自分は自分だ」という態度をとられると、ムカついてしまう。そういう人は失敗しても、自分以外の他人が悪いと思っている。
日焼け止めを買い求めるためには、まずはドラッグストアを探す必要があった。最初携帯で「薬局」と検索すると、病院のそばにあるガチの薬局が出てきて困った。私の住んでいるところでは、こうした「薬局」がドラッグストアよりもずっと多いのである。ドラッグストアは処方箋を持って行っても対応してくれるが、薬局にお菓子やお酒は売っていないだろう。やっとドラッグストアを見つけ中に入ったが、今度は日焼け止めが見つからなくてイライラした。店員に所在を確かめると、ばたばたと探しだして、時間に間に合うか不安になった。時間とは子供の発表の時間であった。ようやく見付かった。シーズンではないから、小さなコーナーに移動されていたのだ。