意味をあたえる

文章としかいいようがない fktack@yahoo.co.jp

田中歯科医院

毎朝田中歯科医院の前をとおって会社に来ている。歯医者にもさまざまな形があって例えば元コンビニ型等あるが田中歯科医院は自宅兼用型と一目見てわかるたたずまいでありというかただの一軒家に看板だけ立っている。看板がないと民家にしか見えない。門が立派で中には松が植えられている。扉は当然引き戸だ。錠は二重である。田中歯科医院は階段を二段くらい上がった土地に建てられていて文字通り敷居が高い。これでは近所の顔見知りの人しかやってこないのではないか。家屋の外観からして医師は高齢の人と思われる。高齢の人は総じて乱暴だ。いつからかコンビニよりも歯科医院のほうが数が多いと言われるようになって歯医者はどこも清潔でスタッフは物腰やわらかく玄関も当然バリアフリーだ。子供の頃に行った待合室がリアルに田舎の駅の待合室みたいだった中川医院(内科)が懐かしい。中川医院は今は二代目になって建物はきれいになり駐車場には生意気にもロータリーがしつらえてある。電気の力で上げ下げするシャッターの向こうにはベンツが停まっている。私は若先生には一度くらいしかお目にかかったことはないがまるで「ベンツくらいしか楽しみがないんですよ」と言いたげである。そうじゃなければ道沿いに横棒の細いスケスケのシャッターなんかつくるわけない。中川医院の駐車場は昔は砂利で4台くらいしか停められず私はその一角に停めた母の赤い車の後部座席で横になり母が早く会計を終えて戻ってこないか心待ちにしながらひたすら天井を眺めていたのをおぼえている。風邪を引いたのである。私はこのブログで700回くらい書いたが子供の頃は病弱でインフルエンザの予防接種でインフルエンザにかかるような子供だった。前日から熱の上がった私は息も絶え絶えにパジャマから洋服に着替え母の車に乗って病院にやってきた。しかしおぼえているのは待合いのポスターとあとは車で待っている場面くらいだ。診察は一瞬だからすぐに忘れる。受付の脇に診断書の値段が出ていて目玉が飛びでるくらい高かった。