意味をあたえる

文章としかいいようがない fktack@yahoo.co.jp

「あなたが拠り所と思っているところこそあなたを裏切るのです」

タイトルは引用であり引用は保坂和志の「地鳴き、小鳥みたいな」の中のキース・リチャーズはすごいという短編の中に出てくる言葉である。その前にカフカの城の話があって保坂は「カフカ『城』ノート」という連載をやっているがしばらく空いていてそのことを書きその前はデレクベイリーとかボブディランとかサザンのことを書いている。小説家は日本の音楽も聴くらしい。それでタイトルの言葉はカフカの連載の中での保坂の言葉なのか「城」で出てくる誰かのセリフなのか判断がつかないそう思いながらタイトルに引用するために本を開いたら
「この村ではとるに足らないことほど重要なのです」みたいな言葉が城の話と一緒に出てきたのでやはり城の誰かがそう言ったのか。ぱっと開いたページにたまたま出てきた言葉でその後本を閉じてこの文章を書き出したからもう正確にはどう書いてあったかわからない。また開いてももうそのページには容易には辿り着けない。最初から読み直して「おそらくここだろう」みたいな箇所を見つけられるのがせいぜいである。ところでタイトルの言葉だがそこまで私の中に響いたとは思えずどちらかと言えば「これを引用すれば今日の記事になるな」という予感というか打算のほうが大きい。そんな風でこの先も書き続けられるのか。あるいはこんなスタンスで書き続けていいものなのか。長く書くコツとしてはわかること或いはわからないことを書くのではなくわかるかわからないか不明瞭なことを書くことである。わからないことは誰かに揚げ足をとられそうで書いていてしんどいしわかることは読者をバカにしているようで書いていてしんどい。


朝から喉が痛く一日寝たきりのようであった。午前中は本当に寝てばかりで喉が痛いせいか口を開けたまま寝てしまい唾を垂らしてクッションを汚した。慌てて着ていた長袖で拭き取りこれはボロの寝巻きで今日脱いだら洗うから唾で汚れてもいいのだとか考えた。半分寝ていたのである。スマホで他愛のない読み物を読んでいつの間にか意識を失い手からスマホがこぼれ洗濯物の山に落ちた。これは私がたたまなければならない洗濯物だった。びっくりするくらいの山であった。妻と下の子はフリマに行ったのでのんびりやろうと思った。あるいは風邪を言い訳に放棄してしまうのも手だった。午後になると日が高くなって暑くなりいくらか楽になったので少しずつたたんだ。それまで着ていた長袖を脱いだ。私の家族は女ばかりで女は似たような下着ばかりを身につけた。生理のときにはすり減ったパンツをはきこれがもうどれが誰だか見当もつかなかったので名前を書いてもらうことにした。洗濯のタグのところに黒いマジックで名前が入った。まるでプールの授業のようであった。