会社の課長が部下の薄くなった頭髪を赤外線で読み込もうとして頭皮が赤く光り夕日のようだった。それは嘘でそこまで薄くもないが本人は
「気にしてるんです」
と言い気の毒だった。課長は愉快そうだったが私は笑えなかった。ここのところやるべき仕事が多くて四六時中機嫌が悪いせいかもしれない。頭髪の薄い同僚は忙しくなると目に見えて不機嫌になり返事もろくにしなくなるがそれならむしろストレスがたまらなそうであるがストレスはあるのだろう。しかしそれと頭皮が関係するかは不明だが。私は周りの人と影で「あの人すぐイライラしちゃいますよね」とネタにしてストレスを発散しているのである。私も頭皮を守りたいのだ。ちなみにその人は私よりも一回り年上でありだからネタにできるという側面もあった。一回りは言いすぎでせいぜい10歳か9歳上なだけだ。一回り年上だったのは以前の職場の人で私が年を言うと
「お前一回り下なのかよ」
と嫌な顔をされた。その人はやがて介護保険の徴収対象となりつまり私は20代の後半までそこに勤めていたのだ。たしかに一回り下の人が会社に入ってくると考えさせられるものがある。どうして12で一区切りなのか10はまだまだ取り返しがつくと思っているのか。