意味をあたえる

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桜井君の学校のドラマ

たまたま家族が録画したものを家族と昼を食べながら見たが面白かった。昼は冷凍のカルボナーラを食べた。一度レンジで温めたが指定の時間とワット数でやったにもかかわらず解凍されていないぶぶんがあってフォークで刺すとじゃくじゃく言って霜柱のようだった。寒い日でうちは暑がりばかりだから私は朝から車に乗ってドライブした。ひとりなら暖房も付け放題だった。


よく教師は公務員は世の中のことがわかっていないみたいな話があってわかるわからないはともかく変わっている人が多いという話があるがそれは公務員に限らず比較的変化の少ないある種流れの淀んだ場所なら営利組織であっても変わらない。限に私の職場私の部署はそういうところで独特な人が多い。私もそのひとりである。ドラマでもちょっと何言ってんだこの人はみたいな教師がいるが私の身近にもいる。現実を見ない人もいる。また折り返しを返しちゃった人やピークを越えてしまった人も淀みがちだ。ゴールが見えた人と言うのはとにかく省エネ指向で変化を嫌う。


そういう人に袋叩きに遭う桜井君に同情しながら見たが桜井君だってたいがいである。自分が奨学金を得て大学に通ったものの今でも借金に苦しんでいる話をどうしていちいち格好つけながら話すのか。結果生徒にドン引きされ蒼井優には「だから言ったじゃないの」みたいに突き放され膝から崩れ落ちる桜井。確かに蒼井の「子供にそんな難しい話はしても逆効果だ」というのはいかにも決めつけが過ぎて生徒を「商品」と言い切った桜井とどっちもどっちだがやはり私は桜井の「世の中に役立つことを教える」というのに納得できない。


高校三年の英語の先生は定年寸前の宮本という男でもうすでに担任はもっておらず学年主任である日宮本は授業の合間の雑談で何の話だったか忘れたが政治か宗教の話にかすった話で突然宮本は
「教師は政治(宗教)の話ができません。よってこの話はここでやめにします」
と言って止めてしまった。もともと堅物で体格が良くて頭は禿げていて毛髪はほとんど残っていなくて僧侶のようでありおそらく形式を重視して不器用な性格で生徒にも敬語を使う。他の教師ならあえてそういう話題に近づかないか悟られないよううまくかわすのだろうが宮本ははっきりと「教師だからできない」と言った。今思えば宮本は語らずに語ったのである。なぜなら私は今でも「教師だからできない」と言った宮本のことをおぼえていてこうして今日ここに記したからである。いわゆる「世の中」「社会」と呼ばれる場所には教師が語ることのできない領域があるということを肌でかんじることができればじゅうぶんで社会に役立つ仕事はこれこれですとわざわざ教えても意味はない。大抵の生徒は忘れるか反発するだけだ。