叔父が死んで今日もお経屋さんがきてお経をあげたこのお経屋さんは実は二代目で二代目というのは私から見て二代目でもっとずっと前から続いているが先代は先代でまだ現役らしいが陽があるらしく二代目がきた しかしここのところ法事がなんだといつも二代目な気がする 妹はこの二代目を「小坊主」と呼んでいて正確な年齢はわからないが童顔でこのお寺はいつもお経のあとに説教をするが小坊主はいつまでもこれが上手にならない 昨日もパンダが偉いとかよくわからない話をした 私もよくとりとめのない話をしてしまうがこの人は一応プロだしもう少し真剣に練習したらどうかと思ってしまう しかしここ何年かでだんだん可愛らしく見えてきたのも事実だ
叔父が火葬場につき何基かならんだエレベーターの扉のようなところのひとつに棺は入った 扉が開いたときに中がちらりと見え壁面が洞窟のようになっていて私は「縄文時代のようだ」と思った もしくは石器時代のほうが合っているかもしれない 私はこうして人は死んで歴史に帰っていくんだと思った 扉が閉まり「チン」て音がして何もここまでエレベーターみたくしなくてもよかろうにと思ったら小坊主の金物の音だった それを合図にまたお経が始まって私たちは手を合わせた エレベーターと私たちは分厚いガラスに遮られていて小坊主だけが中にいて小坊主は私たちに背中を向けてエレベーターに向かってお経を唱えた 私はなんとなくステージでギターソロを行うギタリストの背中を見守るドラマーのような気持ちになった その後私たちはずいぶん狭い部屋で食事をとって叔父は骨になった