この前テレビの魔法とかファンタジーが今は解けてしまったとマツコ・デラックスがテレビで言っているのを書き起こしている記事を読んだ 私は近頃ドラマにしろバラエティーにしろとにかく「ストーリー」というものに疲れてしまったかんじがしてわかりやすく言うと「暗黙の了解」という言葉があるがあれにいちいち「了解しました」と同意を示さなければならないのが鬱陶しい もっとわかりやすく言うとこの前のクレージー・ジャーニーで「物語を旅する男」というのがやっていて浦島太郎のルーツを探るのだがそれはすでに終わっていることを本人に再現してもらうのだがそこで実際に会った浦島太郎の子孫とかに会うのだがまるで初めて会った風を2人は装う そうすると私は
「きっとこんな仰々しく出会ったわけじゃないんだろうな」とか
「家系図ももっと「ご自由にどうぞ」と箱ごと渡されたのかもしれない もったいぶって広げるのはスタッフの指示でもう何度かやり直しされているのかもしれないぞ」
とか考えてしまう そういう風に私がなってしまったのは保坂和志や深沢七郎だのを読んだりした影響かもしれないと私なりにぼんやり考えていたが冒頭のマツコ・デラックスのようにインターネットの台頭によってテレビの魔法が解けただけの話かもしれない
いわゆるインターネットの書き込みを見るとたまに私が子供のころに父がぼやいていた内容と酷似していて懐かしくなる
私が子供のころに電気カミソリのCMで「ブラウン・モーニング・リポート」というのがやっていて括弧内の「ブラウン・モーニング・リポート」を外国人ぽい発音で流れ突然街中で電気カミソリを持った男が出勤途中のサラリーマンに
「今朝ヒゲ剃ってきましたか?」
と訊きまくる 「剃ってきた」と言うと手にしたブラウンの電気カミソリを差し出しこれでもう一度剃ってくれと頼む ブラウンで剃るサラリーマン そり終わった後に開けてみると不思議なことに髭のかすが出てくる つまり普通のひげ剃りなら届かないところもブラウンなら剃ることができ髭のカスがでてくるということはその証左なのである 当時まだひげを剃ったことのない私は「あんな粉みたいなひげなんて剃れなくても支障はないのではないか」と思ったがそれは今も変わらない もっとも私はひげがとても薄い体質で当日の朝ではなく前日に剃っている
それよりも私が気になっていたことがあってあるとき父に
「(ブラウンの電気カミソリについて)もし「剃ってきた」と言う人がいたらどうするんだ?」
と質問してみた
「みんなそう言うんだよ」と父
「そうじゃなくてまったく同じのブラウンの電気カミソリで剃ってきたと言ったらどうするんだ?」
すると驚いたことに父は答えることができずに固まってしまった 普通に考えれば「そんなの後から編集でカットするか剃らせない そもそもあれは仕込みで実際に剃ってもらってない可能性が高い」とわかりそうだがそれは今だからわかるのであって当時はまだまだテレビの魔法は効力があったから父はフリーズしたのである